2023.06.05 20:38 更新
2023.06.05 取材
ZALMAN「TNN500A」をご存じだろうか。ボディ全体がヒートシンク(というコンセプト)という”世界初のファンレスPCケース”は、今から20年前の2003年に約15万円で発売。折しも自作PC業界は静音ブームの只中で、飛ぶように売れたかどうかは定かではないが、ZALMANのチャレンジは自作史に残る名機のひとつだろう。余談だが、ボディにネジ留めするヒートパイプの接触が甘く、実際にどれだけ熱が伝導できているのか、かなり疑問だった記憶がある。
昔話はさておき、ここで紹介するCooler Master Technology(本社:台湾)のコンセプトモデル「COOLING X」は、TNN500Aを思い起こさせる完成型静音PCだ。最も近しいのは両側面。「COSMOS」風筐体の左右にはヒートシンクデザインのアルミニウム製パネルを採用。内側には蛇行した水路を設け、クーラーント液が循環。チューブはCPUやグラフィックスカードに接続されている。
FF14ベンチループ中の動作デモは、両サイドパネルがほんのり温かい程度。きちんと冷却に貢献し、安定動作ができている。ちなみにTNN500Aが空冷に対し、COOLING Xは水冷という辺り、20年の歳月を感じさせる。
デモ機のスペックは、AMD B650チップベースにAMD Ryzen 9 7950X3D、NVIDIA GeForce RTX 4080構成。外径寸法は幅149.4mm、奥行き266.0mm、高さ371.6mmで、重量は17.3kgとされる。この数字から、思いのほかコンパクトである事が分かるだろう。
TNN500Aは中身が空っぽなPCケースだったが、COOLING Xは完成型で自作スキルを必要としないだけに、ユーザーを選ばない万人向けな製品と言えそうだ。
ともあれCooler Masterの完成型とはかなり意外だが、COMPUTEXの南港ブースと本社の2ヵ所に設置する事で、多くのフィードバックを得ようとしている事が分かる。
日本法人担当者に国内販売の可能性を聞いたところ、流通経路や販売方法、さらにアフターサービスなど複数のハードルがあり、極めて難しいといった雰囲気だった。
文: 編集部 松枝 清顕/取材:Tawashi
Cooler Master Technology: https://www.coolermaster.com/