2023.06.08 19:05 更新
2023.06.08 取材
4年ぶりのリアル開催となったCOMPUTEX TAIPEI 2023。Cooler Masterは、南港ブースのほか台北市内の本社に設けられた特設会場でも新製品の展示を行った。魅力的な製品の数々については、こちら(Cooler Masterまとめサイト)に詳しいので参照いただくとして、今回スタッフの厚意により、本社の一部を紹介をしてもらった。ここではその様子を紹介しよう。
Cooler Masterの本社がある内湖区は、台北のビジネスエリアとしても知られる地区。金融関連やTV局など大手企業をはじめ、著名な自作PCパーツメーカーの本社がいくつもある場所でもある。数年前、取材班が別のメーカーの取材で訪れた際に「Cooler Masterが内湖地区に本社ビルを建設しているらしい」という話は聞いていたが、到着早々、ヒートシンクをモチーフにしたというそのデザインに度肝を抜かれることになった。
正面玄関の横には、日本通で知られる創業者Roger Lin氏が発案したというミニ日本庭園がある | COMPUTEX開催中は南港会場と本社を結ぶシャトルバスが運行していた |
創業者のRoger Lin氏が一代で築いたCooler Master。いまや様々な製品を取り扱う大企業へと成長したが、やはり原点はCPUクーラーということなのだろうか(この辺りは、今回のCOMPUTEX プチ(1)にも詳しいので参照してほしい)。遠目からでも一目でヒートシンクと分かるため、初めて訪れる人も迷うことはないだろう。
本社の壁面を覆うのはヒートシンクでいうところのフィン。近くで見ると巨大な鉄板だった。念のためスタッフに確認すると「ヒートシンクと同じ素材ではない(笑)」とのこと |
ちなみに、ヒートシンクデザインのビルについてはさらに驚いたことがある。なんとヒートシンクのフィンにあたる部分は全てリモートコントールで開閉するというのだ。「台風が来た時に閉まるのか?」それとも「社内の温度調整ができるのか?」などアレコレ聞いてみたが、残念ながら完成したばかりで誰もよく分からないとのこと。
「私も初めてきたので、動くところは見たことないんですよ(笑)」と話すのは、今回社内を案内してくれたCooler Master株式会社 APAC/JP Regional Marketing Coordinatorの大森 ななみ氏。開閉する様子はかなり見てみたい |
入る前から驚きの連続となった取材班。ガラス張りで日差しが明るいロビーへと進んでいくと、歴代のフラッグシップPCケース「COSMOS」シリーズがズラリと並んでいた。
ロビーの受け付けも訪れた人を楽しませるCooler Masterデザイン。設置されていた液晶ディスプレイは日本で未発売のCooler Master製だった |
建物全体に言えることだが、最初の印象は実にシンプルながらシックなデザイン。無駄なモノが一切なく、清々しい雰囲気が漂っている。本社に勤めるスタッフはおよそ300名ほど。そのほとんどは電車かバイクで通勤しているという。
歴代の「COSMOS」と並んで展示されていたのが、カスタムバイクビルダーで有名なRough Craftsとの30周年記念コラボ作品。特に海外からきたお客さんに好評だという |
COMPUTEX TAIPEI 2023用に設置された記念パネル。30周年のロゴはCooler Master製品で描かれていた |
ロビーを抜けて、エレベーターに続くセキュリティゲートに進むと顔認証システムが設置されており、社員の出社状況は自動的に記録される仕組み。さらに体温を検知し発熱がある場合にはアラートが出る。なお建物は地上9階、地下5階の構造。地下が深い理由は、日本同様に地震国である台湾のため耐震構造には特に配慮した作りとなっているからだという。
体温チェックまであるのが台湾らしいところ。社外の人は受付で登録する事で入館できるようになる |
全体的にシンプルで無駄のないデザインの社内において、唯一と言ってもいい異色な空間となっているのがエレベーターだ。「来社した人はみなさん驚かれます」という通り、床以外は全面ガラス張りの暗い空間。天井はインフィニティミラーデザインとなっており、ナイトクラブへ通じるエレベーターのよう。ちなみに、社員カードで動作するが、役職によっていける階数は制限されていた。
エレベーター内部は、全体的に落ち着いた雰囲気の社内とは別世界。一気に仕事へのスイッチが入る?かも |
2階から4階はまだ工事中とのことで一気に5階へ案内された取材班。COMPUTEX TAIPEI 2023でも特設会場になっていた場所だ。普段から新製品の展示スペースとして利用されるほか、今後は一般ユーザーを招いたイベントやセミナーなども開催されるという。
今年で30周年のCooler Master。創業からの年表も設置されている(詳細はコチラ) |
中央の展示スペースを囲うように大小の7つの会議室が設置されている。また、社員が集まってフランクな雰囲気で話ができる「酷楽階」という階段状のミーティングスペースも用意されていた。なお、6階はCooler Master Corp(CMC)、Cooler Master Technology Inc(CMT)といったグループ会社が入り、8階は開発や研究を行うフロアになっている。
平日ということで使用中の会議室が多かったが、空いている一部屋に案内してもらった |
こちらも入室は顔認証で管理されている | 会議室には巨大ディスプレイやデジタルホワイトボードを設置。また、空調管理や室内の明るさ、機器の管理などは手元のタブレットで一括操作できる |
「酷楽階」という階段状のミーティングスペース。Roger Lin氏が社員を集めて話をする際にも使われるとか |
続いて、地下を確認すると地下3階から5階は専用の駐車場。自動車とバイクは別の階となっており、基本的に自動車で通勤するのは「偉い人です」とのこと。多くの社員がバイクで通勤する台湾スタイルは健在だ。
地下駐車場を覗かせてもらった。自動車は外国製の高級車がズラリ。バイクはその多くが原付きだった |
最後に新社屋の目玉のひとつ「COOLER BAR」に行ってみよう。地下1階に設けられたレストランで、パスタやピザ、ホットドッグ、ケーキなど洋食中心のメニューが揃っている。
地下1階にある「COOLER BAR」。ロビーから入れるほか、玄関脇の入り口からも入店できる |
台湾の有名店にいたシェフを招いたという自慢のレストラン。ミーティング後に食事をしたり、仕事終わりに友人とディナーを楽しむ人が多いとか。社員専用かと思いきや、外部にも入り口が設けられており、一般のお客さんも利用できるレストランとして営業している。
注文はスマホから行う今ドキ仕様 |
ご相伴にあずかった取材班も大満足。美味しいパスタやケーキをご馳走になった。 |
利用していたのはCooler Masterの社員が半分ほど。残りは社外のお客さんのようだった。無料のゲームコーナーもある |
エルミタ取材班も台湾に本社を構えるメーカーには何社も訪れた経験がある。しかし今回訪れたCooler Masterの新社屋は何処とも似ていない実にシックでシンプルな作りだった。
台湾で行うイベントの際に出動すると言う「COOLER BAR」のキッチンカー |
台北市内の喧騒がウソのような落ち着いた佇まいが印象的。そして、なにより働いているスタッフの様子はとても楽しそうで、笑顔が多いと感じる場面が大変多かった。今年11月で創業31年に突入するCooler Masterだが、これからも自作市場をリードする様な独創的かつ実用的な製品を次々と生み出してくれるだろう。
文: 編集部 Tawashi
Cooler Master Technology: https://www.coolermaster.com/jp/ja-jp/