2023.08.14 12:00 更新
2023.08.14 取材
決して広くはないお店に、同人ハードやレトロゲームなどがあふれるカオス空間。ここ家電のケンちゃんにて、“家電のHRDちゃん”こと店長の原田さんにディープなアレコレを語ってもらう「教えて!HRDさん」。今回は、お店の一角をさり気なく占有している、なぞのワンダースワン開発機材について教えてもらうことに。
ウチの店には、この令和の時代にはすっかり希少な存在になったレトロマシンとか、それをベースにした改造機なんかがよく転がっています。マニアが見ればついニヤリとしてしまいそうなモノも少なくないところ、その中でもコレは珍しいシロモノですよ。いかにも業務用っぽい見てくれですが、何を隠そう元は店頭に設置されていたワンダースワンの試遊機に入っていた機材なんです。正直なところ、名前があるのかどうかも分かりません。
そもそもはアーケード筐体みたいな厳ついガワがありまして、コレはそれを破壊(!)して取り出した中身ですね。スワンクリスタルの形をしたやつが試遊用の端末で、もとの筐体には極太の金属製アームでガッチリ固定されていました。そして筐体の上部にはデカい画面が取り付けられていて、試遊している様子が周りから見られるようになっているという仕組み。
そう、コレはワンダースワンの映像を外部出力できるという、開発機材の一種なわけです。似たような機能をもつ機材としては「テレビスワン」とかいうモノ(そっちも結構レア)がありますが、こちらは販売店の店頭とかに設置されていたガチガチの筐体に入っていたヤツなので、ちょっと違います。個人で持っている例はかなり少ないんじゃないでしょうか。
ハードウェアとしては、スワン端末はあくまで試遊用のインターフェイスなので、CPUとかも入っていないでしょう。カセットはメインの白いユニットの方に挿す仕様になっていて、青いユニットを経由してスワン端末に繋がっているという構成。正直それぞれのユニットの役割は分からんですが、ユニット間はWide SCSIで接続されているみたいですね。そして白ユニットに備える画面出力は、ビデオ端子とS端子。そもそもワンダースワンはテレビ出力できる市販品がないですから、こうした機材はかなり貴重なんですよ。
実際、以前にワ○ピース歴代ゲームのスペシャルムービーの制作を請け負った方がお店に来られて、(ゲーム第1作がワンダースワンらしく)どうにかワンダースワンの映像をキャプチャしたいと。そんな相談を受けて思い出したのが、この機材でした。部屋に眠ってたのを引っ張り出してきたわけですが、動かしたのは20年ぶりくらいでしたかね。
ちなみに何で私がこんなハードを持ってるかというと、某有名ゲーム屋さんが店を閉める時に運び出されてたのに遭遇して、引き取らせてもらったんですよ。どういう機材かは知ってたので、どうにかして貰えないかな・・・と考えながら作業を見守ってたら、ちょうどよく(?)エレクターが荷崩れを起こしちゃって。
そこですかさず「大丈夫っすか手伝いますよ!・・・それはそうと、こっちのヤツ捨てるなら貰っていいすか?」と聞いたら、二つ返事でOK。向こうも廃棄の手間が省けるわけで、昔はよくこういうことがあったんですよ。しかし筐体は2台あったのに、なぜか謎の遠慮で1台しか貰わなかったのは今でも後悔してます(笑)。
文: 編集部 絵踏 一
家電のケンちゃん: https://www.gdm.or.jp/shop/2017/0101/193926