2023.10.31 08:00 更新
2023.10.31 取材
家電のケンちゃんの店頭からお送りする今回の主役は、ゲームボーイシリーズのカスタムパーツや改造サービスを手がけているヒミツノバ社長の角田さん。レトロハードのカスタムに特殊な技能や知識が必要だったのは、もう過去のこと。いまや難易度がグッと下がって、ものすごく簡単に最先端ガジェットに変身させることができるらしい。
往年のタイトルを実機でプレイしたい、あるいは移植の目処が立たない旧作を遊びたいといったニーズから、ゲームボーイのようなレトロハードには根強い人気があります。でもいざ純正の実機を起動してみると、「あれ、こんなに画面暗かったっけ!?」とビックリする人は多いはず。サウンドもノイズがひどかったり、そもそも電池をたくさん使う必要があったり。この令和の時代にガチで遊ぶガジェットとしては、気になる点が多いのも確かですよね。
そんな向きにオススメしたいのが、ゲームボーイのカスタムです。レトロハードのカスタムというと、かつてはごく限られたコミュニティや個人がチャレンジしている、すごくディープな世界というイメージがありました。ところがここ数年で改造パーツのクオリティや扱い方が非常に洗練されてきて、誰でも気軽にチャレンジできるジャンルに変わっています。複雑な配線や面倒な加工は不要、はんだ工作ができなくても問題なく組み立てられるものが大半ですよ。
この手のカスタムが広がるキッカケになったのは、初代ゲームボーイ(界隈ではDMGなどと呼ばれていますが)のカセットも動くことから、対応タイトルの幅が広いゲームボーイアドバンス。カスタムパーツのバリエーションも豊富で、中でも最も一般的なのは「IPS液晶キット」を使った液晶の換装ですね。純正はそもそもバックライト自体がないですから、画面の暗さは想像以上。それが劇的に明るく、美麗な映像に生まれ変わります。
最低限必要なのはドライバー類のみ。最新版はOSDメニューから輝度やエフェクトの設定も可能で、そうした機能を使いたい場合は簡易のはんだ工作が必要になります。かつてはBlackBerryから流用した液晶をパワープレイで入れたりしていたものですが、いまや純正とまったく同じサイズ。思い出のシェルを削ったりすることなく、そのまま流用することもできます。
そしてIPS液晶に換装すると消費電力がアップしますし、何より電池(特に充電池)では電圧が足りず動作が不安定になる場合もあることから、合わせて検討したいのがバッテリ駆動への変更ですね。「GBA USB-TypeC イナズマバッテリー」に換装すれば、スマホのようにType-Cで充電できるイマドキ仕様に。カバー内部に格納できるタイプと、Type-C端子を露出させるタイプ(対応カバーも売ってます)の両方が選べます。
さらにボリュームを大幅にアップしてくれるサウンドアンプ、音割れなくしっかり鳴らしてくれるスピーカーも換装すれば、サウンド周りも劇的にレベルアップ。音量が大きくなると元来のノイズも大きくなってしまいますから、それらに加えてノイズを除去するノイズリムーブキットも合わせて組み込むのが定番ですね。
こうしてIPS液晶やバッテリ、サウンド周りも一新すれば、かつてのレトロハードが別世界のリッチな携帯ガジェットに生まれ変わります。さらにマニアックなところでは、ON/OFF可能なクロックアップ機能を追加できるクロックアップモジュールなんてパーツもアリ。作業になりがちなレベル上げ工程がものすごく高速になったり、シミュレーションのCPU思考が速くなったりといったメリットがあって、なかなか面白いですよ。
ほかにも個性的な外観に変身させるシェルやボタン、LRボタンの押し心地をカチッと変えるクリッキートリガーなどなど。実に多彩なカスタムパーツが揃っています。お値段は液晶キットが9,800円、バッテリ基板が3,800円など様々で、仮に全身フルカスタマイズしても3万円台に収まるくらいでしょうか。
なお、手数料をいただいてウチで改造してカスタムすることもできますし、カスタムオーダーの完成品も販売しています。どうしても自分で改造はムリ、という方も安心してください。
角田さんの個人的なお気に入りは、グリップ感含め“昭和のオモチャ感”がたまらないという初代ゲームボーイ(DMG)。外に持ち歩くのももっぱらコレ |
ちなみにゲームボーイアドバンス以外にも、初代ゲームボーイ(DMG)やゲームボーイアドバンスSPなど、他のゲームボーイシリーズのカスタムパーツも扱っています。DS Liteの充電端子をType-C化するパーツもありますし、ちょっとしたカスタムで往年のレトロハードがもっと便利に遊べる時代です。押入れにかつての愛機を眠らせているという方は、ぜひこの機会に別モノに蘇らせてみませんか。
文: 編集部 絵踏 一
ヒミツノバ: https://www.himitsunova.com/