2024.01.28 10:00 更新
2024.01.28 取材
決して広くはないお店に、同人ハードやレトロゲームなどがあふれるカオス空間。ここ家電のケンちゃんにて、“家電のHRDちゃん”こと店長の原田さんにディープなアレコレを語ってもらう「教えて!HRDさん」。今回は、お店の一角で“顔”の一つになっているレトロなソニー製ガジェット(改造済み)について教えてもらうことに。
なんともメカメカしいレトロな外観。一周回って新しく感じるのか、よく通りがかった人が写真を撮っていったりします。もう機能としては別モノになっているわけですが、コレはソニーの「FX-300」という機種。ラジオ・テレビ・カセットデッキが一体になった“ラテカセ”と呼ばれていたヤツですね。
厳密にはラテカセはビクターの愛称だった気がしますが、まぁ一般的にこの手の機器はそれで通ってました。ソニーでは「ジャッカル」のシリーズ名で呼ばれていて、コレはその初代にあたる製品だったと思います。ラジオ・テレビ・カセットがどこにでも持っていけるということで、(高価でしたが)当時はかなりのヒットになったシロモノです。
ちなみにコレの製造年は77年らしく、ちょうど自分が生まれたくらいの時期。ドンピシャで刺さる世代というと、自分のオヤジくらいになるんでしょうかね。今見てもカッコいい、惚れ惚れとするデザインです。
まぁよく見ていただければ分かりますが、基本的にジャッカルなのはほとんど“ガワ”だけ。いまはファミコンのデモ機として元気に動いています。ベースになっているのは個人的に(だいぶ昔に)安く手に入れたジャンクで、中に入っているのはファミコンの互換機。テレビ部分に液晶モジュールを取り付けつつ、スピーカーやアンプも一緒に組み込んで出来上がりという次第です。
もちろん頑張れば動くような状態なら、もったいないしバラしたりしません。ただ手に入ったのが完全なるジャンクだったので、何か面白いことに使えないかな・・・と考えた結果、デモ機に流用することにしたわけですね。
改造するにあたって中のものはゴッソリ取り出すことになったわけですが、これが結構すごかった。まさに当時の技術の粋を集めたといった具合で、もう何も入らないくらいギチギチな状態。テレビもブラウン管でしたしね。
ちなみに特に感激したのは、カセットデッキのギミック。特定の組み合わせでないとスイッチも押せないようになっているわけで、噛み合わせとかがもう神業でした。こういった構造を含めて、物理的な工業製品として同じようなモノを作るのは、もうムリじゃないでしょうか。まさにロストテクノロジーですよ(笑)。
そんなわけでほぼ原型はガワだけなわけですが、カセット用のスロットをあえてカセットデッキのところに持ってきたり、工作時は結構楽しみました。テープカウンターが765になっているのはご愛嬌です(573でもよかったけど)。ちなみにAFC/LIGHTスイッチがSTARTだったり、FMとAMの切り替えがAボタンの連射切り替えになっていたり、一部デモ用に生かしているスイッチもありますよ。
まぁコレ自体は多少やっつけ感もなくはないですが、世の中には楽しんで工作できる素材がアチコチに転がっていると思います。この“元ジャッカル”もそういうモチベーションの切っ掛けになったりするといいですね。
文: 編集部 絵踏 一
家電のケンちゃん: https://www.gdm.or.jp/shop/2017/0101/193926