2024.03.25 21:57 更新
2024.03.25 取材
インテル株式会社(本社:東京都千代田区)は2024年3月25日、同社が推進している「AI PC」や「Intel Foundry」などの最新情報について解説をする「インテルQ1’24 プレスセミナー」を開催した。今回はその中からクライアント向けの情報を中心にご紹介していこう。
AI専用チップ「NPU」や、タイル構造など「過去40年間で最大のアーキテクチャ転換」を謳い昨年12月に正式リリースされたIntelの最新CPU「Core Ultra」シリーズ。今年2月にはvProプラットフォームも登場し、クライアント向けだけでなく、ビジネス向けにもIntelが提唱する「AI PC」を導入する準備が整った。
クライアント製品についての解説を行った技術本部部長工学博士安生 健一郎氏 |
ちなみにvProに対応する「Core Ultra」シリーズだが、第11世代のCPUに比べてオフィスアプリケーションの生産性は最大47%、第13世代のCPUとの比較ではビデオ会議でのワットパフォーマンスは最大36%、AIパフォーマンスは最大2.2倍と大きく向上している。さらにライバルであるRyzen 7 7840Uとの比較でもクリエイティブ関連の性能は最大27%向上している一方で、ビデオ会議での消費電力は最大21%低下し、ワットパフォーマンスの高さを強調していた。
またウイルスやマルウェアの感染パターンを学習して、感染前に検出できるようになるAIセキュリティ機能「インテル スレット・ディテクション・テクノロジー」は、NPUを活用することで消費電力が大幅に低減されている。そしてWindows 11 Proと連携したセキュリティ機能や、専用チップとして実装されている「インテル シリコン・セキュリティー・エンジン」によって、従来のPCに比べてセキュリティのリスクを大幅に軽減できるのも大きな特徴だ。
さらにCore Ultraに内蔵されているIntel Arc Graphics(および外付けのIntel Arc Pro Graphics)向けに、ISV認証を取得したドライバの提供が提供されることになり、AIエンジンやレイトレーシングエンジン、AV1対応エンコード・デコードエンジンを業務用のアプリケーションで扱うことができるようになる。これにより、今後はクリエイターやデザイナー、エンジニアが使用する薄型・軽量設計なモバイルワークステーション用途への普及も加速していくだろう。
なおこれまで「AI PC」の定義は漠然としていたが、インテルではマイクロソフトと共同で定義を策定。今後は、CPU、GPUに加えてNPUをチップ上に搭載するほか、CopilotとCopilotキーが実装されているものが「AI PC」と呼ばれることになるとのこと。
インテルとマイクロソフトによって「AI PC」についての定義が策定された |
今後さらに活用の幅が広がるであろうAI機能。セミナーでは、その一例としてNPUを使ったフィッシング検出アプリケーションが紹介された |
またクライアントPC向けのAIの活用例として、NPUを使ったフィッシングサイトの検出アプリケーションや、Core Ultraで動作するStability AIが開発した日本語対応の大規模言語モデル「Japanese Stable LM 3B-4E1T」や「Japanese Stable LM Gammma 7B」も紹介された。
セミナーではゲストとしてStability AI Japan株式会社代表のJerry Chi氏も登壇 |
その他、セミナーの冒頭では代表取締役社長鈴木 国正氏が登壇し、インテルが現在最も注力しているファウンドリーサービスである「IDM 2.0」や、今後注力していく自動車分野などでの取り組みについて解説が行われた。
鈴木 国正氏からは、「IDM 2.0」や自動車分野の取り組みを紹介。さらに国内でのテクノロジーに関連する教育への取り組みとして、生徒だけでなく教員の育成にも力を入れていることが解説された |
そして経営戦略室長大野 誠氏からは、最新ノードの開発が順調であること、そしてインテルのファウンドリー事業のメリットとして、高い技術力に加えて、地政学的なリスクにも強い点などが挙げられていた。
大野 誠氏によれば、4年間で5つのプロセスノードを実現する「5N4Y」計画は順調。また2030年までには世界第2位のファウンドリーとしての地位を確立できるよう今後も研究・開発を進めていくとのこと |
文: 編集部 池西 樹
インテル株式会社: https://www.intel.co.jp/