2024.04.29 00:14 更新
2024.04.29 取材
ASUS JAPAN株式会社 OPビジネスグループ パートナーマネージメント部 アカウントマネージャーの上岡 葵氏。2022年入社で普段はパーツ製品の営業を担当しているがPCゲーマーでもある |
ここからはイベントの目玉である「Back-To-the-Future(BTF)」シリーズの解説セッションだ。進行を担当したのは、入社1年半でPCゲームが大好きという上岡 葵氏。前日の4月26日(金)にプレイベントとして行われた「ASUS新入社員のBTF組立て!目標1時間!」に挑戦し、BTFシリーズを使った自作はすでに経験済み。自作初心者の目線からBTFシリーズの魅力をわかりやすく解説してくれた。
プレイベントでは約1時間半で見事BTFシリーズを使ったPCを完成。当日のイベントでも展示されていた |
自作PC市場で長く続く「魅せるPC」は昨今のSNS普及と相まって、一般ユーザーにも広く浸透している。ここ最近でもPCパーツショップにはピラーレスデザインPCケースの選択肢が一気に増え、現在でも自作PC市場の主役となっている。そんな中、あらたな“配線のカタチ”として登場したBTFシリーズの主たる目的が、強化ガラス越しに見えるケーブルを一切無くす「究極の魅せるPC」だ。
ASUSから発売されているBTFシリーズは、マザーボードが4種類、グラフィックスカードが2種類、PCケースが5種類(ROG Hyperion GR701 BTF Editionのみ5月発売予定)。
マザーボードはIntel Z790を採用する「ROG MAXIMUS Z790 HERO BTF」を筆頭に、同じくIntel Z790採用の「TUF GAMING Z790-BTF WIFI」。さらにIntel B760を採用するMicroATXフォームファクタの「TUF GAMING B760M-BTF WIFI」とバリエーションモデル「TUF GAMING B760M-BTF WIFI D4」が用意されている。
このうち、Intel Z790を採用する上位2モデルでは「BTF」シリーズのキモといえる独自機構で最大600Wまでの電源供給ができる専用コネクタ「Graphics Card High-Power Slot」を装備。対応グラフィックカードであるGeForce RTX 4070 Ti SUPERを採用する「TUF-RTX4070TIS-O16G-BTF-WHITE」と、GeForce RTX 4090を採用する「ROG-STRIX-RTX4090-O24G-BTF-GAMING」の2モデルが搭載可能だ。
GeForce RTX 4090もサポートする最大600Wまでの電源供給ができる専用コネクタ「Graphics Card High-Power Slot」 |
コネクタを裏面に設置して配線を隠す機構としてはMSIの「PROJECT ZERO」シリーズがあるが、こちらはグラフィックカード用の専用コネクタをもっておらず、既存の製品を使うことになる。そのため、マザーボードに接続する主要なケーブルを隠すことはできても、グラフィクスカードに接続する補助電源ケーブルはどうしても目立ってしまう。ASUSのBTFシリーズは、ケーブルを一切無くす「究極の魅せるPC」が構築できる点が強調されていた。
Intel Z790を採用する「ROG MAXIMUS Z790 HERO BTF」 |
余談ながらASUSは「Graphics Card High-Power Slot」の特許を申請しておらず、対応マザーボードやグラフィクスカードは他のメーカーでも採用できるとのこと。各社が参入し、「BTF」シリーズの裾野を広げてほしいという思いが込められている。
GeForce RTX 4090を採用する「ROG-STRIX-RTX4090-O24G-BTF-GAMING」。補助電源ケーブルはなくスッキリしているのがわかる |
展示用のPCを数台組んだASUSスタッフの話では、使用する電源ユニットのケーブルは極力柔らかいものを選択してほしいとのこと。裏面に配線が集中するため、ケーブルの硬さが作業のしやすさに直結するという |
裏面にコネクタやピンヘッダがあるため、CPUやメモリを取り付ける際には裏面を保護するための厚手の緩衝材に乗せた状態で作業を進める |
イベントで語られることはなかったが、「Graphics Card High-Power Slot」対応グラフィックカード最大の懸念は「BTF」シリーズマザーボード専用であること。「Graphics Card High-Power Slot」がないマザーボードでは利用できない点に、ややハードルの高さを感じざるを得ない。
GeForce RTX 4070 Ti SUPERを採用する「TUF-RTX4070TIS-O16G-BTF-WHITE」 |
例えばマザーボードが壊れた場合や組み替えを行う際、一般的なATX規格のマザーボードへの流用ができない。また、GeForce RTX 4070 Ti SUPERやGeForce RTX 4090といったハイエンドGPU搭載モデルでも、将来的に下取りに出す場合にはネックになり得るだろう。現時点ではいわゆる“つぶしが利かない”製品ではあるものの、今後対応マザーボードが増えればその懸念は解消できるはず。「仕上がりの美しさ」と「特殊規格」はトレードオフの関係にある点は理解したうえで導入したほうがいい。
ケーブルは隠せないものの、「Graphics Card High-Power Slot」を採用するマザーボードに従来のグラフィックスカードは取り付け可能 |
ツクモ各店で見かけた「BTF」シリーズの対応表 |