2024.06.06 23:14 更新
2024.06.06 取材
これまで頑なに空冷にこだわってきたNoctuaだが、今年のブースにはオールインワン型水冷ユニット風のコンセプトモデル「Thermosiphon development project」が展示されていた。早速その正体について探っていくことにしよう。
一見すると240mmラジエーターを採用するスタンダードなオールインワン型水冷ユニットのような出で立ち。しかし開発担当者(もちろんJakob Dellinger氏)に話を聞くと、そう単純な製品ではないらしい。
ユニットの内部にはクーラント液にかわり、特殊な冷媒液が充填されている。これがCPUから発せられた熱によりウォーターブロック部分で気化して、ラジエーターに移動。移動した蒸気はラジエーターに搭載された冷却ファンで冷やされ、液体になりCPUへと戻る循環機構によって、ポンプを使わずに動作することができる。
ポンプレス設計のためウォーターブロックはとてもコンパクト |
共同で開発しているのは、自動車向け冷却ソリューションを得意とするCalyos(本社:ベルギー)で、昨年のCOMPUTEXでStreacomが発表したファンレスPCケース「SG10」で実装されていた「ループヒートパイプ方式」と同様の技術を採用している。
騒音源となるポンプからの駆動振動がなく、故障によるトラブルもないことから長期間安定動作が可能。それでいてハイエンドCPUを十分冷やすことができる性能が期待できるとなれば、夢のようなシステムだ。
現時点でラジエーターのサイズは240mmと360mmを想定。Jakob氏によれば、今回展示されているサンプルは初期段階の試作品で、今後は組み合わせるファンやヘッド、ラジエーター形状などを調整していくため「製品化までにはまだまだ時間が必要」とのこと。
文: 編集部 池西 樹
Noctua: http://www.noctua.at/
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