2024.06.07 11:55 更新
2024.06.07 取材
ASUS(本社:台湾)ブースで見つけた、オールインワン型水冷ユニットのコンセプトモデル。近頃ではウォーターブロックのヘッド部にLCDを内蔵し、システムのリアルタイムモニターや好みの画像を表示させる、といったギミックが珍しくなくなっている。「MROG MINIMAL TUBING AIO COOLER」と呼ばれる展示機もしかりだが、危うく同類としてカンタンに片付けてしまうところだった。
“AIを駆使せず”要約すると、実際は現時点で完全なコンセプトモデル。担当者に聞くところによると、今年もあちこちのブースで見かける「ピラーレスデザインPCケース」向けに考案されたもので、例のパノラマビューに合わせてディスプレイ部が見た目90°に折れ曲がり、視認性の向上と存在感がアピールさせている。なるほど筐体のコンセプトに合わせた湾曲具合も上手くシンクロしており、率直に”こういった製品は十分にアリ”と思わせてくれる。
さらにユニークなのは、ディスプレイ部はフラットな状態にもできること。これを実現させているのは、有機ELパネルの一種AMOLED(Active-Matrix Organic Light-Emitting Diode)だ。
従来のLCDパネルに比べ、明らかに表示も鮮やかなAMOLEDは、折りたたみ式スマートフォン等に採用される有機ELディスプレイ。Galaxyシリーズを思い浮かべると分かりやすく、ウォーターブロックのヘッド部にスマートフォンを載せたような格好だ。
展示機はオールインワン型水冷ユニットに必要な表示機能に限定されているようだが、やろうと思えばAlexaの連携やGoogleアシスタントを介した”PCに特化した制御”等もカンタンにできるようになるはず。音声によるPCのON/OFFはもとより、システムの状況や各種制御、メール着信ほか各種アラートもお手のもの。PCとスマホ機能の融合は大なる可能性を秘めているワケだが、最終的には売価との折り合いが大きな壁として立ちはだかり、現状”現実的ではない”と言わざるを得ない。
側面に回り込むAMOLEDは6.67型。視認性は高くテキストを読むにも十分だった |
6.67型AMOLEDに目が行きがちだが、受熱ベースプレートにも注目。オールインワン型水冷ユニットでは圧倒的シェアを誇るAsetekが手掛け、「AIでクーラント液の流れを最適化した」という。
コールドプレートと表記される、いわゆるヒートシンクの形状がAIO水冷のパフォーマンスを左右する要。”冷却液のスムーズな流れと最も高い効果をAIにより最適化した”と言われれば、なかなかの説得力として製品化はアリと見る。
文: 編集部 松枝 清顕/取材・撮影:池西 樹
ASUSTeK Computer Inc.: https://www.asus.com/
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