2024.08.03 12:00 更新
2024.08.03 取材
秋葉原の電気街と同じ歴史を刻んできた、秋葉原の古さと新しさが同居する東京ラジオデパートを廻る「東京ラジオデパート探訪」。第7回は、エルミタでもお馴染みな、東京ラジオデパート屈指の老舗店「テクノハウス東映」にお邪魔します。
「テクノハウス東映」を運営する東映無線は今年で創業78周年。当初はGHQの放出品やトランスなどを扱っており、東京ラジオデパートが1950年に設立されるとそのローンチメンバーとして加わることに。木造2階建てだった最初の建物では2階に店舗があったとのこと、1972年に現在のビルが完成したタイミングで、現在ある1階奥の場所にお店を構えることになりました。
創業からしばらくしてテレビ放送が始まると、高価なテレビを自作するためのキットが大ヒットします。さらにインベーダーゲームが流行るとその筐体を手がけて売りまくったり、マイコンブームの最中にはグリーンモニターを多数販売。オーディオブームの際は店舗を2分するくらいオーディオ製品を置いていたとか。
中華パッドを販売していた頃の店頭 |
その後PC-8800などの登場とともに、パソコンが売り場の主役に。さらにラジオデパート外に系列店が増えてくると計測器をメインに扱うお店になり、いわゆる“中華パッド”が流行った際はアキバでも有数の取り扱い店舗としてマニアに親しまれていました。
まさに時代を反映する鏡のように、様々な商材を取り扱って変遷を続けてきたという印象。以前は「東映無線ラジオデパート店」という店名でしたが、2020年5月の店舗統合以降は「テクノハウス東映」として営業しています。
そんな同店における現在の主力商品は、何と言ってもフラッシュメモリでしょう。国内向けに比べて大幅に安価な並行輸入品を主に扱っており、価格はアキバでも最安クラスです。
フラッシュ担当が「“初物”は可能な限り早く仕入れるようにしています。1GBのSDカードを日本で初めて販売したのもウチなんですよ」と語るように、新製品がいち早く入荷するお店としても有名。ちなみに“1GBのSDカード”は、10数年前の当時で12~13万円もしたというから、時代の流れを感じますね。
それ以外では、キーボード・マウスやイヤホン、モバイルバッテリといった周辺機器は、特価で仕入れられたお買い得品を所狭しと展開。さらにニッチながら注目なのは変換アダプタ・ケーブル系で、あまり他店では扱わないレガシーな変換から、いったい何に使うか分からないスキマすぎる変換まで、玄人好みなラインナップが揃っています。決して膨大という数ではないのですが、よそでは売っていないけど東映ならあるかも・・・と思わせられる品揃えが特徴のお店ですね。
これまで様々なカテゴリの商品を扱ってきた東映無線にあって、「過去イチ売れた物」はいったい何なのか?という質問に答えてくれたのは、同社に在籍して40年以上というベテラン店長の貝津さん。数の面では、やはり現在トップの売れ筋になっている「SanDisk Ultra」シリーズをはじめとしたフラッシュメモリだそうです。
とにかく毎日毎週で売れていく枚数がハンパではなく、数百枚売れることも珍しくないというからビックリ。法人顧客が1,000枚単位で購入していく場合もあるとか、並行輸入の格安カードを大量に扱っている同店ならではの光景と言えます。
そして「謎の売れ筋」に困らないのがこのお店。特に変換アダプタ系は、Type-A(メス) to Type-A(オス)やType-C(メス) to Type-C(オス)のような“何も変換しないアダプタ”や、Type-C(オス) to Type-C(オス)のような使い所の分からないモノがいくつもあります。
「ときめいたら仕入れるようにしている」など、ほぼ担当が趣味で仕入れているものも多いようですが・・・それがなぜか売れる不思議。まさに謎の売れ筋ですね。
文: 編集部 絵踏 一
テクノハウス東映: https://www.gdm.or.jp/shop/tech-toei/