2024.11.24 00:01 更新
2024.11.24 取材
決して広くはないお店に、同人ハードやレトロゲームなどがあふれるカオス空間。ここ家電のケンちゃんにて、“家電のHRDちゃん”こと店長の原田さんにディープなアレコレを語ってもらう「教えて!HRDさん」。今回は思いがけず店頭にやってきて、原田さんをビックリさせた謎の開発基板について教えてもらうことに。
長く中古やらジャンクを扱っていると、時折コレは!?と驚くような珍しいシロモノと巡り合うことがあります。今回ご紹介するこの基板もそうした類のモノで、何を隠そうこれはメガドラ純正の開発基板。まぁ基板自体は探せばあるものなんですが、問題は中に入っていたデータでした。なんと海外版メガドラことGENESIS向けに作られていた、ポパイの未発売ゲーム「Popeye THE SAILOR」の開発データが入っていたんです。
フーン・・・と思うかもしれませんが、これが結構とんでもないシロモノなんですよ。開発を手がけたのは、くにおくんシリーズで知られているテクノスジャパンのアメリカ法人American Technos。実際に「開発するよ!」というニュース程度は出ていて、ゲームショウか何かのイベントでデモされていた映像もYoutubeに上がっていたりします。
ただ実際にゲームとして発売されることはなく、“消息”として世に知られているのはこの程度。開発中のデータがこうした形で残されていた、あるいは存在していたということ自体、これまで知られていませんでした。まさに幻のデータというわけです。
それで実際に起動してみると、できるのはポパイを動かすことだけ。音も鳴らないし、敵が出てくるわけでもない。水に落ちても死なないでそのまま立ってるし、静止画だけのステージもあったり。まさに「こんな感じで開発してますよ」というイメージ用に作ったという感じですね。それでここからどうしようか、という。それくらい中身がありません。
ただ普通はもうちょっと作ってからROMに焼くものなので、どこかに進捗なり絵面を見せるためだけに作ったのかもしれません。さっきチラリと話したデモ映像で使われていたのも同じデータのようなので、ひょっとしたらその時の基板がコレなのかも。どのみちゲームとして形になることはなく、ほどなく開発も止めちゃったんでしょうね。
こんな具合で、歴史の裏側で忘れ去られていたデータが入っていたわけですが・・・この純正の開発基板自体も結構見どころがあったりします。スルーホールのように見えるのが実はソケットだったり、すごくコストが掛けられてる印象。基板にプリントされている「M5」の文字は、ひょっとして“マーク5”の意味なのかな・・・なんて思ったりして、セガ好きにはロマンを感じさせてくれるシロモノです。
なお、かなり貴重なモノだと分かったこの基板ですが、その内にオークションに出品するなりして販売する予定です。こういうものに値段をつけろと言われても困りますからね・・・欲しい方に値段を決めてもらおうという次第。興味がある方はのんびり待っといていただければと思います。
文: 編集部 絵踏 一
家電のケンちゃん: https://www.gdm.or.jp/shop/2017/0101/193926