株式会社サイズ(本社:千葉県松戸市)は2025年3月22日(土)、東京・秋葉原の通運会館 2F(〒101-0021 東京都千代田区外神田3丁目16-18)にて、Noctua初のファンミーティング「Noctua Vision」を開催した。
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今回のイベントではRascom Computerdistribution Ges.mbHのCEORoland Mossig氏が登壇した
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イベントではNoctuaブランドの創始者でもあるRascom Computerdistribution Ges.mbH CEOのRoland Mossig氏が初来日。国内初披露となるプロトタイプをはじめ、エルミタでは詳細検証を行った「NH-D15 G2」「PRIME TX-1600 Noctua Edition」の解説が行われた。
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会場にはプロトタイプや新製品以外にも多くのNoctua製品が展示された
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全2回で行われたイベントはいずれも立ち見が出る盛況ぶり。また来場者にはオリジナルグッズが配布され、Roland Mossig氏によるサイン会も行われた
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サーモサイフォン式の液冷クーラーは2026年登場予定
最も注目を集めていたのが、ポンプユニットを必要としない液冷ユニット「二相サーモサイフォン式クーラー」だ。
システムの内部には一般的なクーラント液に代わり特殊な冷媒液を充填。冷媒液はCPUから移動した熱によりウォーターブロック部分で気化し、ラジエーターへと移動。これを冷却することで液体に戻り、ウォーターブロックへと循環する仕組みだ。
その仕組みもさることながら、ポンプユニットが不要になる点は注目だろう。駆動系パーツを省略することで、故障リスクや動作音が無くなるメリットは高そうだ。加えて液体が気体になる際、周囲の熱を吸収する「気化熱」を利用することで、一般的な水冷ユニットよりも高い冷却性能を発揮できるという。
一方、デメリットとまでは行かないものの機構上、CPUソケットより上部にラジエーターを設置する必要がある。ピラーレスデザインPCケースで採用例が多い右側面のサイドファン増設部やフロントパネル部には設置ができない。とは言え、従来とは異なる冷却システムとして登場を心待ちにしたい。
CPU温度など具体的な性能は公開されなかったが、年単位で製品の検証を重ねる事で知られるNoctuaとあって「出すからには納得してもらえる性能が発揮できる製品になる」(Roland Mossig氏)とのこと。なお順調なら2026年中にも製品化される予定だ。
人気ファン「NF-A12x25」の第2世代モデルも開発中
もうひとつのプロトタイプとして持ち込まれたのが、次世代120mm冷却ファンこと「NF-A12x25 G2」だ。2018年に登場した大人気120mmファン「NF-A12x25」の後継モデルで、硬質な液晶ポリマー素材「Sterrox LCP」や、エアフローの損失を抑えるインペラ先端部とフレーム間の超タイトなクリアランスは継承されている。
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プロトタイプ「NF-A12x25 G2」(左)と既存モデル「NF-A12x25」(右)を比較すると、インペラやハブが大きく変更されている事が分かる
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さらに外側のエリアに空気をより多く押し出す「回転方向に湾曲したブレード」や、ハブ領域で発生する空気の流れをブレードに押し出す「遠心タービンハブ」、圧力差により発生する先端部の乱流を抑える「ウイングレット」、高精度なホール効果センサーによってエネルギー効率を最適化した「etaPERFモーター」、背圧による回転数低下を抑える「SupraTorque」など、最新140mmファン「NF-A14x25 G2」のギミックを採用することで、先代を超えるパフォーマンスが発揮できるという。
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「NF-A12x25 G2」では、「NF-A14x25 G2」の最新機能を取り入れることで性能が向上している
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「NF-A14x25 G2」は、ラジエーターや空冷クーラー、さらにPCケースファンとしての運用など、いずれの条件においても従来モデル「NF-A14」を上回ることから、120mmバージョンとなる「NF-A12x25 G2」のパフォーマンスにも大いに期待ができる。なお発売時期については、順調なら年内中が予定されている。
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PQカーブの資料では、従来モデルに比べてあらゆる用途で高い性能を発揮できるように設計されている
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空冷最強CPUクーラー「NH-D15 G2」を改めて解説
「NH-D15」の後継モデルとして2024年7月に登場し、詳細検証をお届けしている「NH-D15 G2」についても解説が行われた。
冷却ファンに「NF-A14x25r G2」を採用するほか、ヒートパイプの本数は6本から8本に増加。さらに冷却フィンのピッチを狭くすることで、放熱面積は20%も向上している。
またベースプレートが標準的な凸型形状のスタンダードモデル「NH-D15 G2」、ILMの圧力が高いためヒートスプレッダの中央部分が低くなる、LGA1700/1851向けに設計された凸型形状が高い「NH-D15 G2 HBC」、ヒートスプレッダが比較的フラットなSocket AM5/AM4などに向く凸型形状が低い「NH-D15 G2 LBC」の3モデルが用意されている。
徹底的に静音性を追求した「PRIME TX-1600 Noctua Edition」
こちらも詳細検証をお届けした、Seasonicとのコラボ電源ユニット「PRIME TX-1600 Noctua Edition」。容量1,600Wのハイエンド電源ユニット「PRIME TX-1600」をベースに、冷却ファンを従来の135mmファンから「NF-A12x25」に変更。さらにファングリルを最適化することで、通常モデルに比べて約8~10dBAの静音化を実現した。
搭載ファンのサイズが小型化されているため、冷却面では不利に感じるかもしれない。しかし「NF-A12x25」は通常の冷却ファンに比べ、高い静圧を特徴としており、電源ユニットのようなパーツが密集した製品では有利になるという。
文: 編集部 池西 樹
Noctua: https://noctua.at/
株式会社サイズ: https://www.scythe.co.jp/