2013.12.31 17:00 更新
2013.12.31 配信
早いモノで、今年も1年を振り返る大晦日を迎えた。アキバ取材班によると、年の瀬週末の秋葉原は大賑わいで、PCパーツの売れ行きも好調ときく。絶好調の時代と比べるのはもはや酷だが、ここ数年の落ち込みを思えば、幾分元気な気分でお正月を迎えることができそうだ。
さてエルミタは、といえば、年末ギリギリまでばたばたが続き、ようやくこの日を迎えている。季節感の薄い仕事だが、テレビ番組のはしゃぎ振りと、街中の独特な気忙しさから、やはり年末であることを意識させられ、それなりに感慨深いものがある。やり残してしまった案件は、そのまま目の前にある評価サンプルの山を見れば明らかだが、今日1日くらいはのんびりしてもバチは当たるまい。読者の皆さんと一緒に、おやつでも食べながら今年1年のエルミタを振り返ってみたいと思う。
なお2013年は「Press release」枠で4,051本(昨年比19%増)、「the Review」枠で114本(同8%増)をお届けしている。
個人的に印象に残るのは、Windows 8.1深夜販売(10月17日)と「秋葉原ラジオストア」の閉店(11月29日)だった |
PLEXTORブランドのSSD「M5 Pro」と「M5 Pro Xtreme」の仕様変更。東芝製NANDの供給パッケージ変更による新リビジョンモデル登場で、メーカーからの正式アナウンスが発表された |
NVIDIAシングルGPUのフラッグシップ「GeForce GTX TITAN」がデビューしたのは2月19日。アキバ店頭での発売開始は2月27日だった。13万円台の売価も大きなインパクトを残した |
水冷パーツメーカーとして世界的著名なEK Water Blocksから、Ivy Bridge向け「EK-Supremacy」マウンタキットが登場。所謂「殻割り」したIvy Bridgeにウォーターブロックをマウントさせるためのキット。この手のアイテムがベスト3に入るあたりは、実にエルミタらしい |
3位のASUSTeK「GeForce GTX 670 DirectCU Mini」は、スモールPCフォームファクタで唯一「手つかず」だった、ショートサイズグラフィックスカードの先駆け的存在。オリジナル「DirectCU Mini」を搭載する本気モデルだった |
あまりの大きさから、これが届いたらどうしようと、内心ビクビクしていたCORSAIR「Obsidian 900D」。結局検証する機会は無かったが、確かな需要のある重量級フルタワーPCケースは、今後積極的に取り上げなければならないだろう |
6月はIntel第4世代Coreプロセッサ「Haswell」の登場、そして「COMPUTEX TAIPEI」レポートがアクセスランク上位を占めた。なお「COMPUTEX」関連でダントツなのが「画像特集」。徹夜で執筆する取材班は複雑な思いを抱かずにはいられない |
取り上げるネタで、安定したアクセスを獲得するアイテムのひとつに「キーボード」が挙げられる。編集部員Sは無類のキーボードマニアだけに、語り出したら止まらない。しかし語り出すまでに時間が掛かるからヤヤコシイ。2014年の課題は「遅筆の克服」である事は言うまでもない(以上業務連絡) |
11月に詳細レビューをお届けしたPhanteks「Enthoo Primo」は、カスタマイズ水冷を構築するために設計されたフルタワー。隙の無い完璧な製品とまでは言えないものの、確たるコンセプトの元にデコレーションされた要所のギミックが楽しい。「空冷CPUクーラー最強モデルで飯を喰うメーカーの、水冷向けモデル」というちぐはぐさはご愛敬 |
今年最も印象に残ったPCパーツといえば、In Win「Tou」だろう。強化ガラスで覆われたボディと、「ミラー&スケルトン」ギミック、そしてタッチパネルの採用。未来的PCケースは普及価格帯にほど遠いものの、圧倒的存在感で話題をさらった |
「なんだそりゃ」も自作業界には必要。フロントパネルに空気力学による遠心力を利用した「サイクロン集塵装置」を搭載したPCケース「Axiom Pro」は、相当怪しい。単なる防塵フィルターでは駄目なのかと、思わずツッコミを入れたくなる大掛かりな装置は、いったいどこに需要があるのだろうか |
Mac Pro風ケースを自作する「ProフレームKIT」に注目が集まったのは11月。アユートのProjectMブランドがイデア株式会社の「チューブラー」を使って製品化したもの。板金製造は長尾製作所が請け負った |
12月もMini-ITX対応ケースの秀作が登場。Cooler Masterが年内に滑りこませた「Elite 110 Cube」は、2スロット占有グラフィックスカードやオールインワン水冷ユニットが搭載できる。売価7,000円台も魅力 |
エルミタの屋台骨を支えるレビュー記事は、大晦日まで合計114本(インタビュー企画等含む)をお届けした。いずれのお題目もSTAFFが全力で取り組んでいるつもりだが、耳を澄ませば「知りたいところはそこじゃない」や、「もっとここが見たかった」等の声が聞こえてくる。2014年は今年の反省を生かし、「ちょっと欲しくなった」と思って頂けるような記事作りを一層心掛けたい。
2013年度にお届けしたレビュー記事で、最もアクセスを集めたのは『手頃なMini-ITXケース発見 サイズ「Betty」検証』だった。1月11日からの掲載であることから、掲載期間の長さが有利である事は付け加える必要がある。とはいえ、エルミタレビューではPCケース、とりわけ小型モデルへの注目度は高い。サイズ「Betty」は、Mini-ITX対応の縦置きモデルで、5.25インチオープンベイも備えた佳作だった。SFX規格300W電源ユニットを標準で装備し、売価6,000円台のお買い得感も、自作派から支持された要因のひとつ。オーソドックスな外観も実用的PCケースとして受け入れられたのかもしれない。
『MicroATXケースのNewスタンダード CORSAIR「Obsidian 350D」検証』は、1位と僅差。掲載日は5月11日だけに、2位という結果だった。PCケースカテゴリが好調なCORSAIRだが、今年は特に活発なリリースを続け、確実にライバル他社からのシェア獲りに結果を残した。特にMicroATX対応の「350D」は完成度が高く、頭ひとつ以上抜き出た印象。勢い個人的にもレビュー後に1台購入し、本稿も「350D」マシンによりライティングされている。ちなみにハードウェア構成はレビュー同様、240mmサイズラジエターの水冷だが、手持ちの機材で事を済ませたため、CORSAIR以外のモデルである事はここだけの話。
3位はCube型Mini-ITXケース『スモールPC好き注目のMini-ITXケース サイズ「MONOBOX ITX2」検証』だった。2013年は近頃の自作市場を反映し、3位までがMicroATX/Mini-ITXで占められた。このモデルは1.5mm厚のアルミニウム製で、左サイドパネルは通気性を高めたメッシュ仕様。ドライブは2.5インチ計2台、または3.5インチと2.5インチ各1台がマウントできる。筆者の記憶違いでなければ、検証後の評価機は編集部員宅へ嫁いでいった。元気にしているだろうか。
PCケースレビューの編集時間は、おおよそ2週間。内部構造の細部を確認しながらの作業だけに、通常のアイテムよりも余計に時間が掛かる。しかしながら、CORSAIR「Carbide Air 540」検証記事は1週間も掛からなかった。もちろん手抜きをしたワケではない。楽しみながら黙々と作業が進行したからだ。こんな事は、年の1度あるやなしやだ。
大型Cubeスタイルの「Carbide Air 540」は、サーバーPCで採用されるBOX型PCというイメージが強い。さらに「デュアルチャンバー」構造を採用する事で、PCケース内部の設計が各構成パーツに最適化され、高い収納力を誇る。唯一設置床面積がミドルタワー2台分は必要である事から、やむなく個人購入は見送った。しかし最近になってその想いは再燃。年明け早々、うっかり購入してしまうかもしれない。
もはや特別な存在ではなくなったSSD。2013年も各社から多数のモデルがリリースされたが、インパクトのある製品が少なかったように思う。性能の頭打ち感は否めず(とはいえ十分高性能)、トピックといえば、撤退や縮小の噂がばかり。そんな中で大健闘といえるのは、東芝「HG5d」だろう。CFD販売株式会社からリリースされた採用モデルは、2013年を代表するSSDといっていい。エルミタでは少々遅ればせながら、7月に人気モデルのPLEXTOR「M5 Pro Xtreme」と直接対決という形で検証を行った。未だ色褪せることがない「HG5d」シリーズは、しばらくはその鮮度を保ち続けるだろう。
駆け足で振り返った2013年。引き続き自作PC業界は、各種端末をはじめとするデジタルガジェット関連の勢いに圧倒されている感がある。それでも「Press release」アクセスBEST 3の結果を見ると、9月のASUSTeK「Fonepad」を除けば全て自作PCパーツ系記事が占めた。あくまでも自作PCを主役に据えたサイト作りが、このような結果に表れている事は嬉しい限り。あと数時間でスタートする2014年も、これまで通りエルミタらしく、自作PCの可能性と楽しさ、進化し続けるテクノロジーを数多くお届けしたいと考えている。
今年も1年間のご愛読、ありがとうございました。来年も大いに自作PCを楽しみましょう。皆さんよいお年をお迎えください。
文: GDM編集部 松枝 清顕