2014.06.30 14:39 更新
2014.06.30 配信
産総研は、高周波電圧をかけることで、金属磁石材料の磁化の向きを反転できる新技術「磁化反転アシスト技術」の開発に成功したことを発表した。
現在の磁気ディスクでは、磁化の向きを0/1のような2値状態に置き換えることで情報を記録しているが、記録容量増加にともない磁石のコンパクト化が進んでいる。これにより磁化の向きを維持する磁気的エネルギーが低下。室温でも磁化の向きが反転する可能性が出てきたことから、近頃では磁化の向きを固定する“磁気異方性”が大きな磁石材料が採用されている。しかし“磁気異方性”が大きくなりすぎると、情報書換に必要な磁界も大きくなるためデータの書換ができなくなるデメリットが存在する。「トンネル磁気抵抗素子」を使用することで、消費電力を抑えつつ磁化反転の促進が可能 |
これらの問題を解決するための技術として、考えられたのが「磁化反転アシスト技術」。磁石材料にマイクロ波による高周波磁界をかけることで、磁化反転に必要なエネルギーを低減。これにより、高い情報保存性を維持しながらデータの書込が可能となった。さらに抵抗の大きい「トンネル磁気抵抗素子」を用いることで、これまでの「マイクロ波アシスト磁化反転」に比べて、消費電力を数十分の1へと抑えることに成功している。
なお産総研によれば、今後はより高い垂直磁気異方性をもつ材料の検討と、局所的に高周波電圧(電界)をかけるための新しい磁気記録アシスト用ヘッドの開発を進め、数~数10nmサイズの微小磁石における磁化反転アシスト効果の実証を目指すとしている。
文: GDM編集部 池西 樹
独立行政法人産業技術総合研究所: http://www.aist.go.jp/