2018.02.16 15:35 更新
2018.02.16 配信
東芝は現在策定中の次世代無線LAN規格IEEE 802.11axのドラフト規格に対応する、アクセスポイント向け1チップICの開発に成功。アメリカ サンフランシスコで開催中の半導体回路国際会議「ISSCC2018」で発表した。
IEEE 802.11axでは、多数の無線LAN端末が存在する環境でも高速通信ができるよう、アクセスポイントが端末を制御して衝突を避けるマルチユーザー伝送技術を採用。これにより多くの端末が存在する環境でも従来の4倍以上という高速通信が可能になる。
雑音によって発生する誤差には「振幅誤差」と「位相誤差」があるが、「振幅誤差」を補正するのは難しい。そこで「新補正回路」では軸を回転し、誤差成分を「位相誤差」のみにすることで、簡単かつ高精度な補正ができるという |
ただし規格に準拠した高速通信を行うには、回路自体の低雑音化に加え、多数の無線LANが混在する環境でも干渉による通信品質の劣化を抑える必要がある。そこで東芝では、雑音による誤差を高精度に補正する「新補正回路」と、電子レンジなどの干渉源を判別して干渉の少ない周波数を短時間で検出する「干渉源検出回路」を開発。これを4×4 MIMO技術と組み合わせることで、IEEE 802.11axに必要な送受信特性を実現した。
「干渉源検出回路」では、もとの電波の種類を判別し、干渉源の少ない周波数を瞬時に検出できる |
なお東芝では今後もこれらの技術を適用した送受信回路の開発を進め、次世代無線LANをはじめとする高速無線通信技術の発展に貢献していくという。
文: エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
株式会社 東芝: http://www.toshiba.co.jp/