2022.02.17 23:00 更新
2022.02.17 配信
AMD(本社:アメリカ)は2022年2月某日、プレス向けオンラインブリーフィングを開催。CES 2022に合わせて発表した最新モバイルCPU「Ryzen 6000 Series Mobile Processor」の詳細情報を公開した。
「Ryzen 6000 Series Mobile Processor」はこれまでと同じく、CPUコアとGPUコアを1パッケージにしたいわゆるAPUとして提供されるが、CPUコアには最新アーキテクチャ「Zen 3+」を採用する。構成自体はこれまでの「Zen 3」から大きな違いはなく、8つのCPUコアで、16MBのL3キャッシュを共有する構造を継承。各CPUコア間やCPUコアとL3キャッシュ間のレイテンシを最小限に抑えることで、マルチスレッド処理、シングルスレッド処理とも優れたパフォーマンスを発揮することができる。
「Ryzen 6000 Series Mobile Processor」の構成図。CPUコア「Zen 3+」では、従来と同様8つのCPUコアと16MBのL3キャッシュでCCDを構成している |
また「Zen 3+」では、製造プロセスの微細化(7nm→6nm)や、50以上の改善や新機能を追加した最新コアマイクロアーキテクチャ、新たなパワーマネジメント機能を備えたファームウェア、ZステートやSVI3レギュレータなどを組み合わせたプラットフォームを組み合わせることで消費電力の削減に成功。ワットパフォーマンスが大幅に改善するとともに、動作クロックも最高5.0GHzまで引き上げられている。
「Zen 3+」では、ハードウェアだけでなくソフトウェアも最適化することで無駄な消費電力を極力抑えるよう設計されている |
そして内蔵GPUがVegaアーキテクチャから、最新のRDNA 2アーキテクチャに変更されているのも大きなトピック。さらに実行ユニット数はこれまでの最大8CUから最大12CUへ、レンダーバックエンドやL2キャッシュは2倍に拡張されている他、動作クロックも最高2.4GHzへと向上している。これによりピーク性能はFP32が3.4TFLOPS、FP16では6.8TFLOPSに達し、先代モデルやIntel Iris Xe Graphicsとの比較では最大約2倍の性能が期待できるという。
内蔵GPUは最高12CUの構成が可能。なおRyzen 5では、半分の6CU構成になる |
RDNA 2アーキテクチャを採用したことで、GPUの性能はこれまでの約2倍に向上 |
Intel Iris Xe Graphics(左)やGeForce MX 450(右)に対してはゲームによっては最大で2倍近いパフォーマンスを発揮 |
FSR/RSRに対応するゲームでは、GeForce GTX 1650 Max-Qをも上回るとしている |
その他、帯域幅40GbpsのUSB4や、PCI-Express4.0、LPDDR5(最高6,400MT/s)/DDR5(最高4,800MT/s)メモリ、Wi-Fi 6E無線LANなど、IntelのモバイルCPUに比べて遅れていた最新インターフェイスへの対応も追加されている。
製品ラインナップはTDP15~28Wの超薄型・軽量ノートPC向け「U」シリーズが8コア/16スレッドのRyzen 7 6800Uと、6コア/12スレッドのRyzen 5 6600Uの2モデル。TDP35WのハイパフォーマンスノートPC向け「HS」シリーズが8コア/16スレッドのRyzen 9 6980HS、Ryzen 9 6900HS、Ryzen 7 6800HSと6コア/12スレッドのRyzen 5 6600HSの計4モデル。TDP45WのエンスージアストノートPC向け「HX」シリーズが8コア/16スレッドのRyzen 9 6980HX、Ryzen 9 6900HX、Ryzen 7 6800HXと6コア/12スレッドのRyzen 5 6600HXの計4モデル。
Ryzen 7 6800Uなら、TDP15Wの設定でも、TDP28WのCore i7-1185Gを多くの項目で上回る |
TDP35WのRyzen 9 6950HSとCore i7-11375Hとの比較では、特にマルチスレッド処理で大きな差がついている |
TDP45WのRyzen 9 6900HXは、TDP65WのCore i9-11980HKと同等以上の性能を発揮する |
なお搭載モデルは、Acer、ASUS、Dell、HP、Lenovo、Microsoftなどから早ければ2022年2月にも販売が開始される予定だ。
文: エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
AMD: https://www.amd.com/