2023.08.22 22:00 更新
2023.08.22 配信
NVIDIA Corporation(本社:アメリカ・カリフォルニア州)は2023年8月22日(現地時間)、Gamescom 2023に合わせてAIを活用する超解像技術の最新バージョン「DLSS 3.5」を発表した。
GeForce RTX 20シリーズから実装された「Tensor Core」を活用するAIベースの超解像技術「DLSS」。2020年3月にはニューラルネットワークを改善した「DLSS 2」が、2022年10月には、フレーム生成機能を実装した「DLSS 3」がリリースされるなど、定期的にアップデートされているのはご存知の通り。
そして今回の「DLSS 3.5」では、新たにAIを活用してレイトレーシングの描画をサポートする「Ray Reconstruction」機能が追加された。
一般的なレイトレーシング処理では、対象物に光線を発射して得られた反射・拡散データをもとにデータを描画している。しかし光線の不足や反射データの不均一などが発生し、すべてのピクセルを描画するのに十分な情報を得ることは難しい。
一般的なレイトレーシング処理では、不足している情報をデノイザーを使い補完して描画を行う |
そこで、不足している情報を補うため、現在描画しているフレームより前のフレームのデータを関連付けて蓄積するデノイザーと呼ばれる機能が用意されている。ただし、デノイザーにも限界があり、不正確なデータが大量に蓄積すると間違ったライティングエフェクトや、情報の欠落などが発生してしまうことがある。そしてこれはアップスケールした場合にももちろん引き継がれるため、最終的に描画される画質が低下するわけだ。
現在は開発者がデノイザーの微調整を手動で行うことで、間違ったライティングエフェクトや情報の欠落をできる限り防止しているがそれにも限界がある |
一方「Ray Reconstruction」では、「DLSS 3」の5倍以上の演算ができる他、AI処理によって正しいピクセルを取得することができるようになる。これにより、ノイズが低減する他、反射、グローバル イルミネーション、シャドウなどの照明効果が改善し、正確なレイトレーシングによる描画できるようになるという。
「DLSS 3.5」では、「DLSS 3.0」と同等以上のパフォーマンスを維持しながらレイトレーシングによる描画品質を向上できる |
なお現時点で「DLSS 3」に対応するアプリケーションは「Cyberpunk 2077: Phantom Liberty」「Portal with RTX「Alan Wake 2」「Omniverse Platform」「Chaos Vantage」「D5 Render」が挙げられている。
文: 編集部 池西 樹
NVIDIA Corporation: http://www.nvidia.com/