エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.3
2009.04.05 更新
文:テクニカルライター Jo_kubota/GDM編集部 松枝 清顕
Fatal1tyと言えば、未だにイモラのメインスタンド前ストレートを快走するミハエル・シューマッハを思い浮かべてしまうのは私だけではないと思いつつ、そんなはずは無い、プロゲーマーの事である(当たり前です)。
日本国内市場でも数年前は、ZALMANやabit等、Fatal1tyのコラボレーションパーツが雨後の筍状態で矢継ぎ早にリリースされていた。氏のメインカラーであるフェラーリレッド、、、ではなく「赤」のLEDファンに少々の回転数Upがなされただけで「Fatal1tyモデル」と称され、これで良いのだろうかと感じた貴兄も多かったと思われる。
ただし、メーカーの立場からすると、個人のパーソナリティを前面に押し出し、そしてブランド化できてしまった「成功例」として希有な存在である事には違いなく、「ギガバイ子ちゃん」や「サングラス男」、「ふぉっくす紺子」とは同列にできない、ワールドワイドでの知名度は圧倒的と言わざるを得ない。
さらに本筋から逸脱するエピソードとして、Fatal1tyモデルと称される製品の冷却系パーツは不利であるとされていた。これは、例のメインカラーに問題があり、冷却パーツに“熱”を連想させる「赤」は不向きで、クールな「青」等の寒色系が採用される事が多い通常モデルの横に「赤」パッケージが列ぶ事で、「よりパワフルな冷却」というイメージには直結しずらく、苦戦が強いられた。冷却系パーツとFatal1tyは、取り払えない壁が存在していた事を思い出す。
閑話休題、ここからが本題である「OCZ 550W Fatal1ty」(型番:OCZ550FTY)の登場となる。
アメリカ・カリフォルニアに本拠地を置くOCZ Technology(以下、OCZ)は、当サイトでも大きく取り上げたSSD「Vertex Series」を初めとするNAND型フラッシュで注目を集める中、オーバークロック系メモリや、ゲーミングマウスなどで高い知名度を誇るパーツメー カー。そんなOCZが昨年末国内市場に投入したのがFatal1tyブランドを引っ提げた「OCZ 550W Fatal1ty」であった。
OCZ 550W Fatal1ty(OCZ550FTY) 2008年12月発売 実売価格平均12,000円前後 80PLUS認証モデル ケーブル着脱式 国内正規代理店:株式会社アスク |
定格550W、モジュラーケーブル仕様の「OCZ 550W Fatal1ty」モデルは、Fatal1tyメインカラーの赤をあしらったパッケージデザインが存在感をアピールし、前述の冷却系アイテムとは違い、パワフルな電源であるという主張は違和感が無い。さらに言えば、OCZのコーポレートカラーをも連想させ、綺麗に仕上げられている。OCZのパッケージデザインは洗練されており、非常にクールでいつも感心させられる。
さて、細部を見ているうちに、思いも寄らない事実が発覚した。というのも、OCZサイトの製品詳細では搭載ファンの口径が120mmの赤LED搭載となっているが、実際には135mm口径の赤LEDファンが搭載されていたのだ。
ファンスペックをチェックするために型番を確認して発覚したわけだが、これが逆に135mmファン搭載表記で実際に120mmファンが搭載されていたならばメーカーに即報告となる所、口径が大きくなって損は無しという事でご愛敬の部類とする。(そんな事で良いのかという話はこの際問わず)
というわけで、実際に搭載される“135mm”ファンは、GLOBEの「RL4RS1352512H」で、メーカーカタログモデル。スケルトンフレームおよびインペラのリブ無しファンで、スリーブベアリングが採用されている。
さらに詳細を見ると、回転数は1500rpm、騒音値29.2dBAで、最大風量は106.86CFMとなる。
135mmファン四隅に取り付けられたLEDはFatal1tyイメージのRedLED仕様となる | 搭載ファンは、GLOBE「RL4RS1352512H」DC12V 0.33Aのリブ無しスケルトンモデル。画面でいうところのファン上部4分の1は、アクリル板で塞がれており、内部効率の良いエアフローと静圧を増強させる工夫がなされている |
なおお断りしておくと、あくまでこれはGLOBEのカタログスペックによるもので、オペレーティングボルテージ幅は6~13.8Vとなり、OCZの電源ユニット側の仕様により列挙したこの値がMaxではない場合がある。OCZ側から正確な数値が開示されていない以上、自身でお調べ頂くか、参考値としていただきたい。
電源回路関係も守備範囲とする当サイトではお馴染みのテクニカルライター、Jo_kubotaが内部検証を行った。以下はその詳細解説となる。
新製品を主軸にお伝えするこの枠で、なぜ2008年末にリリースされた電源ユニットを取り上げることになったのか。今更ながら根本的な説明となるが、550Wという電源容量で、決して安価な部類ではない「OCZ 550W Fatal1ty」というモデルには、価格なりの理由が内部に隠されているはずだ。いや、もしかするとその期待を見事に裏切る製品であるかもしれない。
本来ならばミドルレンジこそ一番層が厚いはずであり、ハイパワーの1000Wクラスばかりに脚光を浴びさせるのではなく、今一度このクラスの電源ユニットの細部を見直そうという所が今回の狙いとなっている。(編集部注釈)
(text: テクニカルライター Jo_kubota)
変換効率80%以上のを持つ製品に与えられる「80PLUS」 |
さて皆さんは電源を選ぶ基準をどこに置いているだろうか。安さ(コストパフォーマンス)は当然気にしているだろうし、それ以上に信頼性も気になっているハズだ。
そこで目安にしたいのが「80PLUS認証」だ。実は80PLUS認証には、かなりコストがかかり、この認証を受けるには厳しいテストをパスしなければならない。つまり「80PLUS認証」そのものが信頼性の一つして機能しているわけだ。
そしてOCZ550FTYの実売価格は1万2000円と550W電源としては高価な部類に入る。今や700W級電源でさえ1万円前後で買えてしまう時代であり、大は小を兼ねるというわけで、皆さんは大容量の電源を選びがちになっていないだろうか。
例えばCore 2 Duo E8500/GeForce 9800 GTクラスのPCのアイドル時の消費電力は120W程度しかなく、高負荷時でも220~250Wくらいだ。大容量の電源は確かに対応の幅が広いが、想定しているレンジから外れる、つまり極端にシステムが省電力な場合、変換効率を上げられず、その結果ムダにする電力も大きくなる傾向があるのだ。
よってそこそこの消費電力には、そこそこの容量の電源を選ぶことが最も効率がよいのである。その意味で550Wという容量は、現在主流となっているPCパーツを組み合わせる上で“ちょうどいい”容量と言える。
しかし悲しいかな、550Wクラスはライバルが多く過当な競争により、品質のよい電源が市場から消えつつある。
そんななか、安心して買える電源の一つとして「OCZ 550W Fatal1ty」が登場したことは、“分かっている”ユーザーにとって非常に有意義なことなのである。ただそうは言っても高いものは高い。実売9,000円台くらいになれば、CPUやマザーボードを差し置いてでもオススメできる製品になるだろう。
「OCZ 550W Fatal1ty」製品スペック | |
型番 | OCZ550FTY |
出力 | 550W |
規格 | ATX12V v2.2 and EPS12V |
搭載ファン | 135mm Red LED搭載 |
入力電圧 | 100V~240V ±10% |
入力周波数帯 | 47Hz~63Hz |
製品サイズ | 150(幅)×160(奥行)×86(高)mm |
平均故障間隔 | 100.000時間 |
PFC | アクティブPFC |
効率 | 82%以上 |
80PLUS | 80PLUS |
NVIDIA SLI テクノロジ | 認定 |
保証 | 3年間保証 |
「OCZ 550W Fatal1ty」 コネクタ数 | ||
メイン24ピン電源コネクタ | 1 | |
CPU補助4ピン電源コネクタ | 1 | |
CPU補助8ピン電源コネクタ | 1 |
「OCZ 550W Fatal1ty」 モジュラーコネクタ数 | ||
6+2ピンPCI-E電源コネクタ | 1 | |
6ピンPCI-E電源コネクタ | 1 | |
ペリフェラル電源コネクタ | 5 | |
FDD電源コネクタ | 1 | |
SATA電源コネクタ | 6 |