エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.6
2009.05.07 更新
文:テクニカルライター Jo_kubota
トリプルチャネルということもあり、Core 2 Duo E8500を圧倒するCore i7-965のスコアとなった。また、Core 2の時と違い、順当に転送レートが向上していることが分かる。
メモリのレテンシもキレイな階段状となり、DDR3-1867が圧倒的に低いレテンシ、つまり待ち時間の少ない転送を実現している。
では実際にどのくらいのクロックが掛かるのかを数字で見てみると、Core i7では、レテンシ設定を統一しているため、純粋にクロックの速いDDR3-1867が最も少ないクロック(回数)で転送できていることが分かる。
L2キャッシュメモリを含めたメモリテストだが、元の転送レートの違いから、Core 2 Duo E8500がかなり低い結果となっている。もっとも比べることが間違ってるいるのだが、メモリ周りにおいて、Core i7はかなり速いことは間違いない。そこにXMPのDDR3-1867が加わると、その差はさらに広がる。しかし、これはL2/L3キャッシュのスコアを含んでいるため、L2/L3キャッシュメモリの影響を排除した次のグラフを見てみよう。
その結果は、Core i7のDDR3-1867は、E8500+DDR3-1600の3倍近いパフォーマンスを発揮し、DDR3-1333に対してDDR3-1867は20%転送レートがアップしている。メモリメインからの転送が大量に発生するような環境で、DDR3-1867は大きくパフォーマンスを伸ばす可能性が高いことを示唆していると言えるだろう。
ここからは、Core i7-965にATI Radeon HD 4850およびGeForce GTX 275を組み合わせて、メモリクロックがスコアにどう影響するのかを見てみる。
まずは、3DMark06だが、Core 2 Duoでは僅かながら差のついたDDR3-1600とDDR3-1867だったが、Core i7環境ではメモリクロックに関わらず、スコアが横並びとなった。これは純粋にGPUパワーを最大限に引き出していることを意味し、Core i7の大容量L3キャッシュ容量がメモリの速度の違いを吸収してしまっているからだ。(これがCore i7アーキテクチャのいいところでもある)
では実際のゲームでは差が出るのだろうか。3DMark06の結果を踏まえると、それほど差が出ないのは明白だが、結果から言えばGPU負荷の軽い状態、つまりCPU負荷の比率が高い状態の時にDDR3-1867のメリットが現れる傾向がある。
グラフから言えるのは、GeForce GTX 275程度の負荷では、DDR3-1867の恩恵が薄い点は指摘しておく必要があるだろう。しかし裏を返せば、もっとGPUパワーがある状態、例えばよりハイエンドのグラフィックスカードや、CrossFireXまたはNVIDIA SLIなど、超ハイエンドクラスのGPU構成をした場合に、スコアを伸ばす要素としてメインメモリの速度が重要になってくることが予想できる。