エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.16
2009.08.29 更新
文:テクニカルライター KONG
ここからは実際に使ってみて気になった点を紹介したいと思います。
まず液晶の開口度ですが、写真の状態が限界で180度開くことができません。180度開かなくても不自由はないのですが、例えば対面形式(2人)で簡単なプレゼンや打ち合わせをするとき、180度開けるといいと思うのですが。
液晶は写真の状態にまでしか開かない |
使い始めた当初、タイプミスを連発してました。というのも「-」「PgUp」「PgDn」などが、やや小さく、編集キーのレイアウトやサイズが変則的な点は、テキスト編集するには、少々扱いにくいかもしれません。
ミニサイズノートではキーボードがある程度犠牲になるのは仕方ありません。よって最終的には、いかに慣れるかにかかってます。幸いにして通常のA~Zキーは、それなりの大きさを確保しているので、テキスト本文を打ち込むにはそれほど苦労しません。慣れれば、ですが。
キーボード右側の記号類のキーがやや小さめな88キーレイアウト |
S10-2のインターフェイスは、USB 2.0×3、LAN×1、アナログRGB×1、MIC×1、ヘッドホン出力×1、マルチカードスロット×1と、ごく標準的。マルチカードスロットは、4in1タイプで、SDカード、MMC、メモリースティック、メモリースティックProに対応する。当然ながら別売の変換アダプタカードを使用すれば、microSDカード、miniSDカードも使用可能となるため、携帯電話やデジカメなどとの連携可能です。できればCFカードスロットがあると完璧と言いたいところですが、SDカードスロットがあるだけでも上出来と考えるべきかもしれません。
向かって右側にはUSB 2.0×2とACアダプタ入力がある | 向かって左側にはLAN×1、アナログRGB×1、USB 2.0×1、MIC×1、ヘッドホン出力がある |
また、マルチカードスロットのフタですが、可動式のフタではなくダミーカードを挿すタイプとなっています。このためメモリカードを挿すとダミーカードを外すことになるのですが、外したあとのダミーカードをどう保管するかが、悩みところです。その辺りに置いておけば、間違いなく紛失してしまいます。こういうスロットはダミーカードではなく、可動式のフタにして欲しいものです。
SDカードスロット部分はダミーカードでフタをするタイプ。外したダミーカードを失くさないよう注意しよう |
また面白い機能として、顔認証によるログインがあります。液晶の上にWebカメラ(130万画素)が付いてるのですが、これを利用して、ログインすることが可能です。スクリーンセイバーやスリープから復帰する際は、普通はパスワードを入れるのですが、S10-2では、あらかじめ使う人の「顔」を登録しておくことで、パスワードを入力せずに、顔で認証してくれるのです。
液晶上部には130万画素のWebカメラを搭載。顔認識に使用するほか、もちろんWebカメラとしても使用できる |
この手の認証方式では、富士通製ノートPCなどで採用されている「指紋認証」がありますが、「顔認証」のいいところは、スリープから復帰した際に自動的にカメラがONになり、顔を認識した時点でログインしてくれるため、極端な話、パスワードを忘れてもログインできるというわけです。
しかも別人が使おうとした場合、顔認証に失敗することになり、認証に失敗したと判断されると、その顔を撮影して保存してくれるので、セキュリティの面でも安心です。使おうとした人が分かるのは、犯人探し的なところもあるので、周囲との人間関係的にどうか?という問題はありますが。
このように顔を登録しておくと、次回からパスワードの変わりに顔を認識してログインしてくれる。もちろんパスワードを入力してログインすることもできる |
昔のサブノートPCは、本体に搭載するスピーカーはモノラルというのも多かったのですが、S10-2はステレオスピーカーとなってます。ただしその音質は、イマイチですが、無いよりはマシな程度です。またヘッドホンの音質は、悪くなく、音声によるチャットも問題なく使えます。
スピーカーは底面に配置されている。中身については、また後日 |
最後に描画性能ですが、解像度が低いということもあり、動画サイトを楽しむ程度は申し分ありません。Youtubeもニコニコ動画も問題なく視聴できます。
YouTubeもニコニコ動画も問題なく再生可能。ただし上下が狭いため、動画サイトによっては画が切れてしまうことも |
総論として、実売4万円前後のネットブックとして、よく出来てます。小さすぎず、大きすぎず、6セルバッテリーで日帰り出張くらいならACアダプタいらずで使える点は、他のネットブックに比べて有利な点です。
その一方で、ネットブックはネットブック。Webブラウジング程度ならCPUパワーは気になりませんが、エンコードやトランスコード、ビデオ編集といった重い処理の用途には向きません。また光学ドライブを内蔵していないため、ソフトウェアのインストールなどは別のPCからLAN経由で行うか、別途USB接続の光学ドライブを用意する必要があるなど、これ1台で完結するといった性格の製品ではないことは覚えておく必要があるでしょう。
つまり、ネットブックで出来ないことを認識しておかないと、買って後悔することになります。逆に割り切った使い方をするなら、低価格で長時間使用できるS10-2は、ビジネスや旅のお供に最適な1台になるでしょう。
というわけで、次回は、実際に旅行(ちょっと遅い夏休み)に出て、その使い勝手をレポートしたいと思います。
(Part2につづく)