エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.23
2010.01.04 更新
文:GDM編集部 池西 樹
ここからはベンチマークを利用して性能をチェックしていきたい。比較対象としては前述通り、既存のAtomプラットフォームマザーであるIntel「D945GCLF2」と「Celeron E1200」を用意した。
「Celeron E1200」はクロックこそD510や330とほぼ同じ1.6GHzながら、TDPは65Wと全くセグメントの違うCPU。新型Atomがバリューセグメ ントのデスクトップCPUに対してどの程度の性能なのか確認できるだろう。
「Celeron E1200」用のLGA775環境としては、手元にあったMini-ITXマザーであるIbase「MI900F-R」を使用した。「MI900F-R」はチップセットとしてQ965+ICH8を搭載したマザーボードで、オンボードグラフィックが「GMA 3000」、メモリスロットは2スロットでシングルチャネルのみの対応となるため、新旧Atomプラットフォームとの比較には好都合という訳だ。
なお今回チェックに利用したテスト環境は表1の通りで、表2には各CPUの主要スペックをまとめてみた。
(表1)テスト環境 |
CPU | Atom D510 | Atom 330 | Celeron E1200 |
M/B | BOXD510MO | D945GCLF2 | MI900F-R |
メモリ | Transcend DDR2 6400 2G×2 |
Transcend DDR2 6400 2G×1 |
Transcend DDR2 6400 2G×2 |
System Drive | OCZ Vertex series 120GB(OCZSSD2-1VTX120G) | ||
グラフィック | GMA 3150 | GMA 950 | GMA 3000 |
電源 | Scythe CoRE-500-2007(500W) | ||
OS | Windows 7 Ultimate 32bit |
(表2)CPU主要スペック |
CPU | Atom D510 | Atom 330 | Celeron E1200 |
動作クロック | 1.66GHz | 1.6GHz | 1.6GHz |
コア数 (物理/論理) |
2コア/4コア | 2コア/4コア | 2コア/2コア |
L2キャッシュ | 1MB | 1MB | 512KB |
TDP | 13W | 8W | 65W |
コードネーム | Pine Trail | DiamondVille | Conroe |
CPUの性能をチェックするためにCINEBENCH10でのベンチマークを行った。CINEBENCH10はマルチスレッドに最適化されているため、AtomプロセッサのHyper-Threading機能でどの程度性能が上昇するかも確認できる。
Rendering(1 CPU)の結果を見ると今回のスコア増加率(1.036倍)は1.60Ghzから1.66Ghzへのクロック増加率(1.041倍)とほぼ同じになることから、D510と330のコア自体の性能差はほとんど無いようだ。また、Celeron E1200と比較するとAtomコアの性能は約4割程度ということがわかる。
Rendering(x CPU)はマルチスレッドに最適化されているためHyper-Threadingに対応するD510や330は1 CPUの約2.8倍と大幅にスコアがアップするが、それでもCeleron E1200の1 CPUと同程度の性能にとどまる。
PCの総合的な性能を確認するためにPC Mark05でもベンチマークを行った。
CPUの結果について確認してみると、CINEBENCH10とほぼ同じような傾向で、D510と330の性能差は5%前後となっている。一方で、PC Mark05の総合結果をみると、旧Atomプラットフォームから新Atomプラットフォームは1割程度性能がアップしていて、プラットフォーム全体としても性能が上がっていることがわかる。
全体のスコアとしてはCeleron E1200の7割程度の性能ということで、通常の利用に関してはそれほど問題ないスコアだろう。
今回テストした環境はいずれもグラフィック性能があまり高くないため、負荷の少ない3D Mark03を利用してグラフィック性能をチェックしてみた。
新型Atomに搭載されている「GMA 3150」の3Dグラフィック性能は、Inel945GCに搭載されている「GMA950」の約1.2倍となった。CPUの性能差もあるので単純に比較することはできないが、Q965の「GMA 3000」の半分程度の性能のようだ。
実際の3Dゲームに近いベンチマークについても一応チェックしてみることにした。今回チェックに利用したのは「ファイナルファンタジーXI」のオフィシャルベンチマークテスト「Vana’diel Bench 3」である。
すでにかなり古いベンチマークで、最新グラフィックカードの性能を測るには適切では無いかもしれないが、今回チェックするグラフィック機能にはちょうどいいベンチマークだろう。
3DMark03と同様に「GMA950」の約1.2倍の性能にはなっているが、とても快適にゲームが出来る性能ではない。もともとAtomプラットフォームが3Dゲームを目的としていないので仕方ないが、3Dゲームをやるには厳しい結果となった。
次にEverest Ultimate Edition5.0を利用してメモリのベンチマークも確認してみた。
330と比較してD510は全体的にスコアがアップしている。特にReadとCopyについては約1.5倍とかなり高速になっている。これはDDR2-800への対応とCPU内にメモリコントローラーを内蔵した効果がでていると思われる。
「BOXD510MO」で、Window 7がどの程度快適に動作するかをWindows エクスペリエンス インデックスを利用して確認してみた。
■BOXD510MOの結果 |
■D945GCLF2の結果 |
■Celeron E1200の結果 |
これまでのベンチマーク結果と同様にプロセッサ、メモリ、ゲーム用グラフィックスのスコアはわずかにアップしているのがわかる。特筆すべきはグラフィックス性能で、2.2から3.1へと大幅にアップしている。
これは今回のテスト中にも感じた違いなのだがWindows 7のAero環境での動作は「BOXD510MO」と「D945GCLF2」では明らかに違っていた。
「D945GCLF2」の環境ではウィンドウの最大/最小化やフォルダを開くときに明らかにもたつきがあるが、「BOXD510MO」ではそういったもたつきが軽減されている。
Windows エクスペリエンス インデックスは基本スコアが 3.0以上で、「AeroとWindows 7の多くの機能を基本レベルで実行できる」レベルということになる。あくまでも筆者の予想になるが新型AtomのプラットフォームではWindows 7で基本スコアが3.0を超えるように性能を調整したのではないだろうか。ただ、動作のもたつきは軽減されているものの、快適な動作まではいま一歩という感じだ。