エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.25
2010.01.11 更新
文:テクニカルライター Jo_kubota
では、順番に負荷をかけて、電源ユニットごとの消費電力の差を見ていこう。
PRO87+は、全体を通してA社700W電源ユニットよりも消費電力が低く、負荷が高まるごとにB社850W電源ユニットよりも消費電力が低くなっている。また今回のテストでは、最大となる33A負荷をかけた際に545Wを記録したが、PRO87+ 500Wは落ちることはなかった。落ちなかった理由は次の効率のところで解説しよう。
アイドル時の電力から印加した分の電力を差し引くことで、おおよその効率を出すことができる。その効率をグラフにしたのが次の図だ。
最大となる545Wを記録した時の、「PRO87+ 500W」の効率はおよそ93%。つまり内部で実際消費されている電力はおおよそ505W程度となる。「PRO87+ 500W」の12Vラインは最大で492Wなので、3%ほどの定格オーバーなら耐えるというわけだ。
「PRO87+ 500W」には、各種のプロテクションが装備され、中には過負荷保護(OPP)も含まれている。OPPの設定値は不明だが、恐らくこれまでのENERMAX製品同様に5%程度のマージンがあると考えれば、今回のような無茶も難なくパスできるというわけだ。もちろん、その状態で使うことは推奨されないが、短時間のテストでどうしても大容量の電源ユニットが用意できない場合、一時的に使うといった場合に重宝するだろう。
正直、80PLUS GOLDもSILVERも、通常の使い方において、その違いを実感するのは難しいだろう。しかし、「PRO87+ 500W」は、効率を高めることで発熱を減らし、その結果、超低速でファンを回しても十分という副産物が得られている点は、注目に値する。
ファンは回っているが、このファンの音はPCケースに入れてしまえば、生活騒音に紛れて聞こえることはほとんどない。さすがに電源容量いっぱいまで負荷をかければファン回転数は上がるが、それでも一般的な静音を謳う電源ユニットと同一レベルであり、ゲームなどで負荷をかけても騒音が気になることはないだろう。
また、今回は500Wモデルを使用したが、NVIDIA SLIやATI CrossFireXなどを構築しない限り、ハイパワーなCore i7-965 Extreme Editonを使用しても十分、耐えられる。販売の始まった600Wおよび700Wモデルなら、GPUの2枚挿しでも十分対応できるそうだ。
冒頭でも述べたが、ネックになるのは価格。しかし、短いサイクルで電源ユニットを買い換えるくらいなら、長寿命が期待できる本製品を選ぶというのも一つの手だ。品質の高い電源ユニットに換えることで、PC自身のライフサイクルも伸ばすことができる。
「ENERMAX PRO87+」シリーズは、そんな一つ先を行くユーザーにとって、魅力的な選択肢になるのではないだろうか。