エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.32
2010.03.29 更新
文:テクニカルライター Jo_kubota
ではここからTPQ-1200の効率をチェックしてみよう。用意したPCシステムは、電源容量がアップしたということで、玄人志向製のATI Radeon HD 5870に交換。さらにメモリも2GB×4枚の8GBを搭載し、準ハイエンド程度の仕様としている。
スペック表 | |
CPU | Intel Core i5-750(2.66GHz) |
M/B | msi P55-CD53 |
メモリ | DDR3-10600 2GB×4 |
VGA | ATI Radeon HD 5870 |
HDD | HDT722516DLA380(160GB) |
Drive | LG GGC-H20N |
OS | Windows 7 Ultimate 64bit |
比較に用意したのは、同じくAntecの「CP-1000」だ。電源容量1000Wのこちらもハイエンド電源ユニットだが、80PLUS(無印)認証となる。
アイドル時の消費電力を先に見てみよう。いずれもOS起動後、10分放置した際の消費電力となっている。Windows 7では電源管理にて「省電力」「バランス」「高パフォーマンス」の3つが選択できるが、「バランス」に設定した時の消費電力が、下記のグラフだ。
CP-1000が72.3Wなのに対しTPQ-1200は88.5W。80PLUS SILVER認証なのに、TPQ-1200の方が16Wほど消費電力が高い。しかし、この消費電力は、1200Wの1/10以下であり、80PLUS SILVERが定める負荷率20%の時に85%以上という条件以下になってしまう。電源ユニットの効率は、負荷率40~80%くらいがもっとも高くなる傾向があるため、大容量電源ユニットになるほど、省電力なシステムでは逆に効率が落ちてしまう傾向があるのだ。
さてここからは、Windows 7の電源管理を「バランス」に設定し、各アプリケーションを実行した際の消費電力の様子を見てみよう。細かな計測方法は各段落にて紹介するが、いずれの場合も3回計測し、全体を通してもっとも低い消費電力を記録したケースのスコアを採用している。Windows 7ではアイドル時などにバックグランドにてキャッシュなどの整理を行うため、計測タイミングによっては不当に高い消費電力を記録してしまうことがあるためだ。
最初は、ベンチマークの定番、3DMark06。デフォルト設定で実行した場合の消費電力が以下のグラフだ。
アイドル時に見たように、TPQ-1200はCP-1000よりもやや消費電力が高い傾向があるものの、その差は僅かだ。またCP-1000が所々、大きく消費電力が下がるのに対し、TPQ-1200はCP-1000ほどの落ち込みが起こらない傾向がある。
3DMark06と同様にCPUおよびビデオカードへの負荷が高い、バイオハザード5 ベンチマークにて、「ベンチマークB」を実行したのが次のグラフだ。計測は、ベンチマーク選択画面から、スコア表示までの1分45秒を取得している。
傾向そのものは、3DMark06と同様だ。ややTPQ-1200の方が高い消費電力となっているが、その差は小さい。
ここからは一般的なアプリケーションとして、CyberLinkのGPGPU対応エンコーダー「Media Show Espresso」での結果を見てみよう。1280×720pのMPEG-2映像を、H.264にGPGPUを使ってエンコードした時の消費電力を記録したのが次のグラフとなる。計測は、Media Show Espressoを起動してから、動画を登録し、変換画面に切り換えた時点からスタートし、エンコードが終了するまでの時間となっている。
こちらも3DMark06同様にTPQ-1200の方がやや消費電力が高い。
先ほどと同じソースを、今度はWMV形式に変換したのが次のグラフだ。WMV変換は純粋にCPUでのエンコードとなるので、グラフが一定となっている。
こちらもTPQ-1200の方が消費電力が高いものの、CP-1000が凹んでいる箇所のTPQ-1200の凹み方が少なく、滑らかなグラフとなっていることが分かる。3DMark06の結果と合わせて考えると偶然ではなく、TPQ-1200は負荷変動をダイレクトに追わず、一定の消費電力をキープすることで、負荷変動に備えているような印象だ。
先ほどのMPEG-2ソースをWindows Media PlayerにてHDDから再生したときの消費電力を見てみよう。計測は、ファイルをダブルクリックしてから、再生が終了した時点までの3分20秒を記録している。
全体的にTPQ-1200の方が高い傾向を示すのは、これまでと同じで、200W以下の状況下では、大容量が逆にアダとなってしまうようだ。
では、このPCシステムで最も高い負荷をかけたら、どうなるか?ということで、PCストレスツール「OCCT 3.10」にて、PSUテストを実行してみた。PSUテストは、CPUとGPUをともに100%近い負荷をかけることで、消費電力を激増させることができる。なおテストを安価な電源ユニットで実行してしまうと、本当に電源ユニットがお亡くなりになる場合もあるようなので、テストには注意が必要だ。
さてその結果だが、TPQ-1200はCP-1000より総じて低いという結果となった。300Wを超えるような状況下でTPQ-1200は、80PLUS SILVERの威力を発揮するようだ。