エルミタ的「一点突破」CPUクーラー編 Vol.15
2011.02.10 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
サイズオリジナルCPUクーラー「スサノヲ」のこれまでに例のない風貌を一通りチェックした後は、いよいよCPUクーラーとしての実力テストを行ってみたい。100mmファン4基搭載しシステムクーラーとしての側面も兼ね備えた「スサノヲ」は、文字通り“神懸かり的”な冷却性能を持ち合わせているのだろうか。
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エルミタ的「一点突破」CPUクーラー編レギュレーション CPUクーラー計測環境および計測方法 |
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1.マザーボードはケースに組み込まない状態で計測する (ケースファンなどケース内エアフローの影響を受けない状態で、できる限りCPUクーラー本来の性能を見る 2.マザーボードなどの各種設定はデフォルトのまま行う 3.CPUに100%負荷をかけ、5回テストを行う (計5回テスト中、平均値のスコアを掲載) 4.騒音値は、ファンから30cmの距離で計測 5.高負荷状態は「OCCT 3.1.0」Priority HIGH設定 (アイドル時および高負荷時(100%/30分)の数値を計測) 6.コア温度は「HWMonitor Pro 1.17」を使用 (コア#1~#4の平均値) 7.ファン回転数は「SpeedFan 4.40」を使用
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「スサノヲ」にはCPUクーラーとしての役割に加え、システムファンとしての役割も無視できない。というわけで、ここではグラフィックスカードのGPU温度および、メモリの温度を計測し、その効果はどれほどのものか検証してみよう。
テスト方法は、「バイオハザード5」(DirectX 10)ベンチマークを実行し、CPU温度はアイドル時と高負荷時(最高値)それぞれを「HWMonitor Pro 1.17」でモニタ。またメモリ温度はCORSAIR「CMZ8GX3M2A1600C8」のヒートスプレッダ中心部に非接触型温度計を用い、計測を行った。
まずGPU温度を見ると、アイドル状態での比較で最小回転設定時39℃、最大回転設定時37℃となり、2℃の違いが出た。高負荷時のGPU温度こそグラフィックスカードそのものが高温に達する事で、いずれもそれを食い止めるまでには至らないが、アイドル時の2℃の差は「スサノヲ」のシステムファンとしての役割が果たされている証と言えるだろう。
一方でメモリ温度(ヒートスプレッダ中心部)は思惑通りの結果となった。アイドル時比較で最小回転時27.2℃、最大回転時25.4℃(マイナス 1.8℃)、高負荷時では最小回転時31.9℃、最大回転時28.9℃(マイナス3℃)を計測。ヒートスプレッダの形状や能力に依存する部分とも言えるが、今回のテスト機材のようにマッチングがうまく行けば、期待通りの冷却効果が出る事が分かった。総括すると、「スサノヲ」のシステムファンとしての能力は、ハイエンド志向のグラフィックスカードよりもメモリに一定の効果を期待してよさそうだ。
次に、ヒートシンクの各ポイント毎に、温度計測を行ってみる。いつものように非接触型温度計を用い、「OCCT 3.1.0」高負荷時(30分経過)での状況をモニタするが、これまでとは違い「スサノヲ」を3つに分けてそれぞれの温度を見比べてみよう。
■最小回転設定時(℃)
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■最大回転設定時(℃)
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■最小回転設定時(℃)
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■最大回転設定時(℃)
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■最小回転設定時(℃)
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■最大回転設定時(℃)
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ヒートシンク計測ポイント毎の温度計測は、数値上ほぼ順当な結果となった。「一点突破」では、毎回このテストをお送りしているが、実はなかなか難しい。意外に思ったような数字が出ず、幾度と無く計測し、その平均的な数値を掲載している。これまでの経験上推測するに、CPUクーラーの放熱フィンはまさに生き物。負荷を掛け続けた状態でも常に同じ状況にあるワケではなく、ヒートパイプの熱移動の影響も多分に受けつつ、ポイントによっては高温になったり一瞬冷めたりを繰り返す事がある。
ちなみに「スサノヲ」のテストで、最も温度が高かった箇所は受熱ベース裏の放熱フィン(8)=最小回転設定時31.4℃で、次に同条件の(4)=31.1℃と続く。逆に最も温度が低かった箇所は、受熱ベース裏の放熱フィン(6)=最大回転設定時18.3℃だった。