エルミタ的「一点突破」CPUクーラー編 Vol.26
2012.07.06 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
「一点突破」ではお馴染みのヒートシンクポイント別温度計測。その前に今回は趣向を変え、バーティカルベイパーチャンバーの表面温度を計測してみた。興味本位の域は出ないものの、“何かが”読み取れるかもしれない。
テストではデジタル温度計を2個用意。バーティカルベイパーチャンバー「A」と「B」に温度センサーをテープで貼り付け、それぞれ計測を試みた。
単位℃/室内温度25.9℃ |
単位℃/室内温度25.9℃ |
結果はご覧の通り。熱移動を行う部材の表面温度から“何かを”読み取る事は難しい。とは言え懲りずにオーバークロック状態でも温度計測を行ってみることにした。なおオーバークロック時はより差を見るべく、「Silent mode adapter」使用時のみの計測としている。
単位℃/室内温度25.9℃ |
CPUコア温度が上昇している事から、標準時よりもバーティカルベイパーチャンバーの表面温度は明らかに高くなった。受熱ベース部から放熱フィンへ移動させる熱が高ければ、自ずと温度は高くなる。つまりこのテストで分かったのは、至極当たり前のことだけ。得られるものはあまり無かった。
やや回り道をしてしまったが、最後にポイント別の温度計測結果を見て頂こう。従来通り高負荷時、非接触型温度計で計測を行っている。
30℃に満たない黄色い部分はトップ部に集中。多くは30℃以上に達している。ただし、この数値が高いからといって“出来の悪い製品”ではない。CPUクーラーはそもそも、CPUコアからの熱を存分に吸い出し、放熱する役割を果たす。つまりヒートシンクの温度が高くなるのは、“十分に仕事をしている言い換える事ができるワケだ。
テスト結果を見ると、最も高い温度を示したのは、マザーボードの電源回路に近い部分の37.1℃だった。CPUの熱を考えると、特別高い数字ではない。その他箇所も30℃をやや超すレベルで、ヒートシンク全体に熱が行き渡っている事がわかる。
6月の終わりに到着した評価サンプル。いつも通りすぐに動作させることはせず、作業机の傍らに置き、暇さえあれば手に取ること数日。一見なんの変哲も無いサイドフロー型CPUクーラーに、それほど期待値は上がらなかった。しかし発売日が迫ると共に、重い腰を上げてテストを進めて行くにつれ、完成度の高さを思い知ることになる。
バーティカルベイパーチャンバーを初めて採用するCPUクーラーの謳いは伊達では無く、普及価格帯以上の製品で大ヒット作がなかなか出なかったCooler Masterの“本気度”を窺い知ることができた。
COMPUTEX TAIPEIで披露されてからというもの、市場での注目度は非常に高かったと聞く。これは“出尽くした感”が強く、停滞気味であるサイドフロー型CPUクーラーに対する期待感であり、「TPC 812」はそれに十分応える事ができるだろう。
CoolerMaster 「TPC 812」総合評価
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