エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.160
2012.07.29 更新
文:GDM編集部 絵踏 一/松枝 清顕
「VAPOR-X HD7770」は信頼性と電力効率に優れた独自の基板を採用するほか、省電力かつ冷却効果に優れたブラックチョークコイルを搭載する。次はミドルレンジながら安定したオーバークロック性能を発揮するという、「VAPOR-X HD7770」の基板表面をチェックしていこう。
「VAPOR-X」クーラーを駆動させるファンコネクタは4pin構成だ |
ライバルモデルとの違いを明確にする重要な要素のひとつであるVGAクーラー。「VAPOR-X HD7770」にはSAPPHIREオリジナルの「VAPOR-Xクーリング」(VAPOR-Xテクノロジー)が採用されている。
その名の通り、受熱ベース部にはヒートパイプのような熱移動を助ける“ベイパーチャンバー”が内蔵され、GPUからの熱を放熱フィンに拡散。素早く熱処理を行おうというものだ。冒頭でも触れたようにその効果はメーカー公称値でリファレンスモデル比-15℃以上の冷却能力を発揮。さらにデュアルファンは25dBA以下で動作するという。ここでは「VAPOR-Xクーリング」の素性に触れておきたい。
GPUに直接接触する受熱ベース部。従来のヒートパイプよりも表面積が広く、熱移動能力に優れたベイパーチャンバーが採用されている |
GPUを中心として、左右に広がるアルミニウム製放熱フィン。より冷却能力を向上させるため、φ6mmヒートパイプ2本も実装されていた |
「VAPOR-Xクーリング」の冷却能力については、後半のテストセッションに譲り、ここでは騒音値と回転数をチェックする。まずはデジタル騒音計を使い、動作音を計測してみよう。
「VAPOR-Xクーリング」の騒音値はアイドル時で32.9dBA。室内騒音値29.4dBAから僅か3.5dBAの差しかなく、「3DMark11 Version 1.0.3」ベンチマーク実行時でも34.8dBAとなり、常に静音状態を保ちながらGPUの冷却を淡々と行う。約80mm口径のデュアルファンのインペラを注視していると、高負荷状態では確かに回転数が上昇している事は判別できるものの、動作音については意識を集中して耳を澄まさなければ違いが分からない。
なおインペラは9枚仕様で、薄型ファンにありがちな細いフィンデザインではなく、角度の付けられた風量重視汎用ケースファンのような形状が印象的だった。では次に回転数をチェックしておこう。
回転数は後半のテストセッション中のデータを拝借。機材構成や3パターンのクロックチューンの詳細に関しては、そちらを参照頂きたい。
さてグラフ2段目の結果が騒音値テストと同じロケーションとなるが、アイドル時1,159rpmに対し高負荷時1,582rpmと、その差は423rpmだった。なるほどこの数値であれば、音の違いを耳で感じる事はなかなか難しいワケだ。
最後にヒートシンクポイント別の温度計測結果を見ておこう。「VAPOR-X HD7770」の基板レイアウトから、GPU電源周りのコンポーネントが集中するだけあって、拡張スロット寄りのポイントで最も高い温度を計測。この辺りは非常に素直な挙動をみせている。
一連のテスト結果から、ベイパーチャンバーを使った「VAPOR-Xクーリング」は、むやみに高回転にならず、GPUの熱を難なく除去する能力の高さが際立つ。オーバークロックされたRadeon HD 7770との相性は良好とみていいだろう。