エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.160
2012.07.29 更新
文:GDM編集部 絵踏 一/松枝 清顕
それではベンチマークテストを終えたところで、スペック以外の側面から「VAPOR-X HD7770」をチェックしてみよう。
まずは負荷テスト用ソフト「OCCT 4.2.0」実行中の最も高い数値を高負荷時の温度、逆に10分間何もせず放置した際の最低数値をアイドル時のものとして「GPU-Z 0.6.3」によるGPU温度計測を行った。
微妙な温度上昇はあるものの、高クロックモデルになるにつれファン回転数が増したこともあり、誤差の範囲に収まっている。それでいてクーラー動作音は気になるほどには上昇せず、「VAPOR-X」クーラーの優秀さが改めて示された格好だ。なお、アイドル時にはすべてのモデルで横並びの数値になり、差はつかなかった。
次に動作中の消費電力の違いを確認する。各モデルとも負荷テスト用ソフト「OCCT 4.2.0」実行中の最も高い数値を高負荷時、10分間何もせず放置した際の最も低い数値をアイドル時とし、ワットチェッカーを使用した計測を行った。
結果、最も高い動作クロックの「OCバージョン」がリファレンスから20%増、出荷時との比較でも16%増となる181Wをマーク。ユーザーによるオーバークロックにはそれなりの電力増を生むという、ある意味順当な結果といえる。
その一方で、意外なことに「VAPOR-X HD7770」とリファレンスの間ではほとんど差はつかず。ベンチマークで安定してリファレンスを上回るスコアを出していたことを考えれば、非常にバランスのよいチューニングが施されているということなのだろう。
そしてアイドル時には省電力機能が働いていることもあり、GPU温度同様こちらも横並びとなった。負荷が切れればカード側が即座に各クロックを落としてくれるため、消費電力にシビアな人も安心できる。
選択肢をミドルクラスに絞ったものの、さてどれを選ぼうか・・・と悩むユーザーに光明を与えるような存在。少々大げさかもしれないが、ミドルレンジユーザーにとって「VAPOR-X HD7770」は選んでも後悔しないであろうグラフィックスカードだった。バランスのよいメーカーチューニングでリファレンスから一段上のスペックアップを達成しつつ、ユーザーがさらに上を求めて遊ぶこともできる。
そしてそれを可能にしているのは、SAPPHIREオリジナルの「VAPOR-X」クーラーだ。“ベイパーチャンバー”採用の看板に偽りなし。オーバークロック仕様でも安定して冷やす高冷却かつ低騒音のパフォーマンスは、数あるミドルレンジモデル採用クーラーの中でもトップクラスといえる。どうせグラフィックスカードを買うならば、こうした優秀な装備に身を固めたモデルを選びたいもの。ここはチョットお昼代を節約して、ほどよくリッチなミドルレンジを狙ってみよう。