エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.164
2012.08.14 更新
文:GDM編集部 絵踏 一
同時に「HWiNFO64 v4.02」でGPU Vcoreの値を確認。0.992Vから1.014Vの間で可変していることが分かる |
「GTX560TI WHITE3」の出荷時コアクロックは950MHz(リファレンス:820MHz)でメモリクロックは4,400MHz(リファレンス:4,008MHz)、シェーダクロックは 1,900MHz(リファレンス:1,644MHz)だ。まずはここから「XtremeTuner Plus 1.04」を使ったオーバークロックを試し、文字通りの叩き台となるラインを調べてみよう。ただし今回はあくまで「OC PANEL」の挙動を見るのが目的のため、シェーダクロックなど一部の設定には手を触れずにテストを行った。
GPUコア電圧を最大の1.150Vまで昇圧した結果、コアクロックは150MHzアップとなる1,100MHz、メモリクロックは200MHzアップの4,600MHz(実クロック:2,300MHz)を達成。まずまずの性能向上を果たすことができた。これ以上はファン回転数を上げてもベンチマークソフトが停止したりブロックノイズが走ったりと安定しなかったため、この先は「OC PANEL」の働きに期待ということだろう。
さて、「OC PANEL」の検証という意味ではここからが真のスタートライン。勇んで基板上の特殊コネクタに接続、トグルスイッチをパチパチやって遊んでみることにした。なお、電圧制御の効果把握に集中するため、今回は特定の電圧を瞬時に上昇させるオフセット設定は無効のままテストしている。
まず「OC PANEL」を操作して最初に気付くのは、用意された電圧設定の数字の大きさだ。最小設定の1.0750Vでも出荷時の1.014Vを上回っているため、繋いだだけでも出力が増していることになる。最大設定の1.2125Vとの違いはさらに明確で、グラフィックスカードに与える影響も相応に大きくなるはず。そこで出荷時クロックのまま一段階ずつ挙動を確認してみた結果、最も安定してスコアが出ていた1.1750Vをベースラインに設定。ベンチマークが通らなかったコアクロック1,150MHz、メモリクロック2,350MHzの壁に挑んでみることにした。
とりあえず1.1750Vのまま何もせずベンチマークを回してみたところ、負荷が高くなるにつれブロックノイズが出始め、すぐにあっけなく停止してしまう。そこで徐々に「OC PANEL」で昇圧してみると挙動が安定、懸案のポイントも難なく通過できた。
それでは最初から電圧を高めに設定すればいいのでは?という話になるところ、そこは問屋が卸さない。最大の1.2125Vまで昇圧すれば今度は基板の温度が無視できないレベルに達してしまうため、これまたベンチマークが停止してしまうのだ。つまるところ、負荷が高くなる場面では出力を上げて乗り切り、軽めの場面では逆に電圧を落として温度を下げてやる必要があるということ。ベンチマークが落ちるような高負荷のポイントはほぼ決まっているため、それを目掛けて電圧をうまく調整すればいいというわけだ。
最初はおっかなびっくりだったものの、なんとなく使い方が分かってくるとこれがDJや機体操縦(何の?)のようでなかなか面白い。結局試行錯誤することしばらく、なんとか通常時では越えられなかったラインを突破。コアクロック1,150MHz、メモリクロック2,350MHzでのベンチマーク完走を達成した。もちろん上がったスペックが微々たるもののため、スコアの伸びも大したことはない。しかし限られた環境でもブレイクスルーを実現する「OC PANEL」の有用性は十分確認できたといえそうだ。