エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.167
2012.08.28 更新
文:GDM編集部 Tawashi/池西 樹/絵踏 一
多画面出力について確認できたところで、ここからはグラフィックスカードレビューには欠かせない基本的なパフォーマンスについても検証しておこう。ゲーム用途を前提としていないとはいえ、やはりその性能は気になるところ。今回の主役はエントリークラスのGPUであることから、比較対象にはCore i7-3770Kの内蔵GPU「Intel HD Graphics 4000」をチョイス。最近ではまずまず定評のあるIntel製CPUの内蔵GPUパフォーマンスだが、増設によるメリットはあるのだろうか。テスト環境は以下の通りだ。
「GPU-Z 0.6.4」の結果。アイドル時はコアクロック324MHz、メモリクロック648MHzまでクロックを下げて、消費電力を抑える仕様となる |
「WinFast GT640 2GB」にはドライバCDに収められたチューニングソフト「WinFox III」が付属され、各種クロックやファンの回転数を変更することができる |
パフォーマンスチェックの前に、Windows 7エクスペリエンスインデックスを使って基本性能がどの程度違うのか確認してみることにした。
グラフィックス、ゲーム用グラフィックスとも内蔵GPUの6.5から7.1へとスコアが上昇。基本的な操作であれば内蔵GPUでも十分だが、もう一歩グラフィックス系パフォーマンスが欲しい場合には、「WinFast GT640 2GB」のようなエントリークラスのカードでも十分効果があることがわかる。
次にDirectX 11世代の定番ベンチマークソフト「3DMark11 Version 1.0.3」を使ってパフォーマンスを確認。今回は、エントリークラスの製品となるため測定には「Entry」と「Performance」のプリセットを使用した。
3DMark11 Version 1.0.3 Entry |
3DMark11 Version 1.0.3 Performance |
結果は一目瞭然。「Entry」のGraphicsスコアは約2.8倍、負荷が大きくなる「Performance」では約3.1倍といずれも内蔵GPUから大きくスコアを伸ばしている。内蔵GPUの性能が向上しているとはいえ、「GeForce GT 640」クラスのグラフィックスカードとの性能差は依然として大きいことがわかる。
続いてDirectX 10世代のパフォーマンスを確認するため「3DMark Vantage1.1.0」でも計測を行った。こちらもプリセットは「Entry」と「Performance」を使用している。
3DMark Vantae Version1.1.0 Entry |
3DMark Vantage Version1.1.0 Performance |
「Entry」のGPU SCOREは約1.8倍、「Performance」は約2.2倍と「3DMark11 Version 1.0.3」よりは差が縮まっているが、まだまだパフォーマンスには大きな隔たりがある。2つのベンチマーク結果を見る限り、内蔵GPUからのアップグレードパスとして「WinFast GT640 2GB」は有望な選択肢となると思われる。ゲームという場面に限ってしまえば3Dオンラインゲーム程度なら、まずまずこなしてくれるだろう。
パフォーマンス重視のハイエンドと違い、エントリークラスのグラフィックスカードを検討するユーザーには、消費電力の増加も気になる要因の1つ。そこで最後に消費電力の違いについて確認してみることとした。アイドル時は10分間放置した中で最も低い数値を、高負荷時は「3DMark 11 Version 1.0.3」ベンチマーク実行中最も高い数値とした。
アイドル時と高負荷時の消費電力 |
アイドル時は8.0W、高負荷時でも18.6Wしか増えておらず、消費電力の低さは非常に魅力。Keplerアーキテクチャ採用の恩恵が強く発揮されているシーンといえる。特にアイドル時の消費電力が低く抑えられている点は、電源ユニットの出力に余裕のないライトなユーザーには嬉しい結果と言えるだろう。
ここまでのテスト結果を振り返ってみても「WinFast GT640 2GB」のグラフィックスカード市場における立ち位置は非常に明確だ。内蔵GPU以上、ミドルレンジGPU未満というポジションで、高い描画性能が求められるようなPCゲームはほとんどしない。メインは仕事やWEBブラウジング、たまに動画再生といったいわば一般的な用途。このような環境を求める人には、有力な選択肢として是非勧めたいモデルだ。 加えて「WinFast GT640 2GB」は、手軽に多画面出力が実現可能。モニターアームを用意しなけらばならない点を差し引いても、下落の一途をたどる液晶ディスプレイの販売価格のおかげで、こちらへの投資は一昔前とは比べるべくもない好条件。3画面や4画面といった環境は今や容易に構築可能な時代になっている。 古いグラフィックスカードからのアップグレードから新規の自作まで。多くの人が普段使い用としているPCには、まさにうってつけの1枚と言って差支えないだろう。