エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.171
2012.09.07 更新
文:GDM編集部 絵踏 一
NVIDIA GeForce GTX 660Ti搭載グラフィックスカード 「N660GTX-Ti Twin Frozr IV PE OC」 実勢価格32,800円前後 製品情報(エムエスアイコンピュータージャパン株式会社) |
優れたワットパフォーマンスや自動クロックアップ機能「GPU Boost」など、扱いやすいGPUと市場から好評価をもって迎えられたGeForce GTX 600シリーズ。その待望のミドルレンジモデルとあってGTX 660Tiへの注目度は高く、解禁日には多数のショップで深夜販売が行われたのは冒頭触れた通り。しかもそのリファレンススペックはコアベースクロックが915MHz、ブーストクロックが980MHz、メモリクロック6,008MHzと上位モデルにあたるGTX 670と同等。バス幅が192bitに抑えられるなどメモリ周りの性能こそ劣るものの、ハイエンドに並ぶ高い性能は魅力的だ。
しかしその高い性能と期待の大きさとは裏腹に、深夜販売での反響やその後の売れ行きも落ち着いたもので、思いの外静かな船出となった。それもそのはず、上位に迫る性能に文句なしとはいえ、そのせいか価格帯もまたGTX 670に近接しているのが主な原因。様子見を決めこんでいるユーザーも多いのかもしれないが、それでも幅広いゲームの快適プレイを約束するミドルクラスはグラフィックスカード市場でも脂身のような存在。NVIDIAが送り込んできた新世代アッパーミドルGPUのポテンシャルと位置取りを「N660GTX-Ti Twin Frozr IV PE OC」はどう定義していくのか、この後でじっくりと検証していこう。
それではまず俎上に上がっている「N660GTX-Ti Twin Frozr IV PE OC」の個別面談から話を進めよう。
多数のカスタムモデルが乱立するGTX 660Tiラインナップの中にあって、MSIが送り込んできたのは多数のオリジナリティに身を包む高度なチューニングモデルだ。コアベースクロック1,019MHz(リファレンス:915MHz)、ブーストクロック1,097MHz(リファレンス:980MHz)へとオーバークロックが施されたほか、GPU電圧、メモリ電圧、インターフェイス電圧を個別に調整できる「トリプルオーバーボルテージ」に対応。“ツルシ”では満足できないパワーユーザーにもさらなるチューニングの余裕を提供する。
そしてそれらによって引き起こされるであろう発熱を強力に冷却するのが、オリジナルクーラーの「Twin Frozr IV」だ。80mm径ファン2基とφ8mmの極太ヒートパイプ、銅製ベースのヒートシンクを組み合わせ、リファレンスデザインに対しGPU温度を20℃低下させつつ11.7dBの静音化を実現している。
さらにこの「N660GTX-Ti Twin Frozr IV PE OC」は、米国防総省制定の軍事調達規格「MIL-STD-810G」認証をクリアするMSI独自の品質基準「ミリタリークラスIIIコンポーネント」に準拠。早い話が過酷な環境下でも信頼性を発揮できる高品質部品で固められているということだ。高効率・大出力の「Super Ferrite Choke」(SFC)や、長寿命かつ安定した出力をサポートする高性能キャパシタ「Hi-C CAP」、「Solid CAP」を採用。スペックに現れにくい“縁の下”の充実ぶりも強力な武器のひとつと言えるだろう。