エルミタ的速攻撮って出しレビューVol179
2012.10.10 更新
文:GDM編集部 池西 樹
続いて最大の売りでもあるオーバークロック耐性をチェックしていくことにしよう。今回は「NickShih’s OC Profile」の限界とコア電圧を変更した状態でどこまでオーバークロックが可能なのかチェックしてみることにした。
オーバークロック耐性の確認ができたところで、いつも通りCINEBENCH R11.5を使ってどの程度パフォーマンスが向上するのか見ていくことにしよう。
プリセット設定のままで安定動作した4.70GHzではシングルコアで約19%、マルチコアで約26%と簡易設定では十分なパフォーマンスアップを実現。さらにコア電圧を変更した4.90GHzではシングルコアで約25%、マルチコアで約31%と完全に1ランク上の性能を発揮しており、動画エンコードなど重量級の処理を頻繁に行うならKシリーズと「Z77 OC Formula」のコラボレーションは非常に魅力的だ。
次にオーバークロックによって、どの程度消費電力が増加するのか確認しておこう。アイドル時は10分間放置した中で最も低い値、高負荷時はCINEBENCH R11.5を動作中で最も高い値とした。
「NickShih’s OC Profile」のプロファイルでは、アイドル時でもコア電圧が下がらないため設定電圧に応じて消費電力が増加する。また高負荷時は4.70GHzで102.8W増の228.2W、4.90GHz動作では132.8W増の258.2Wと大幅に上昇した。ただしオーバークロックの限界を追求する製品で、消費電力増について言及することのは少々ナンセンス。それよりもオーバークロックによるパフォーマンスアップとここまで消費電力が増加しても安定動作可能な「Z77 OC Formula」の耐性の高さを素直に評価すべきだろう。
今回はオーバークロック向け標榜する「Z77 OC Fomula」について検証してきた。元々一点突破的な尖った製品を得意とするASRockらしく細部にまでこだわったハードウェアのおかげで、今回のテストではOSの起動なら5GHzを超える素晴らしいオーバークロック耐性を見せてくれた。
またややもするとハードウェア面ばかり注目されがちなオーバークロックモデルだが、「Z77 OC Formula」ではNick Shih氏が独自にチューンナップした「NickShih’s OC Profile」や独自機能を備えたチューニングソフトウェア「FORMULA DRIVE」などソフトウェア面も充実。ベテランユーザーだけでなくこれからオーバークロックを始めようと考えているビギナー向け入門機にもオススメだ。
ASRockハイエンドマザーボードの新たな柱として登場した「OC Formula」シリーズの第1弾製品ながらその完成度は高く、今後のラインナップ拡充にもぜひ期待したい。