エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.187
2012.11.01 更新
文:GDM編集部 絵踏 一
ハイエンドゲーミング環境での安定性をSLI構成で試す。増加する消費電力要求を「Silencer Mk III 1200W」は動揺なしに受けとめられるのか、再び動作時の出力変動に注目しよう |
OCCT 4.3.1 PowerSupplyTestによる各電圧の変化 |
OCCT 4.3.1 PowerSupplyTestによる各電圧の最大/最小/平均値 |
さて、ここからは「GV-N670OC-2GD」「GV-N670WF2-2GD」2枚のグラフィックスカードをSLI構成で組み込んだ際の出力変動をチェックする。当然ながら消費電力は338Wとシングル構成時から大きく上昇、電源にかかる負荷もアップしているというワケだ。
ただしここでも「Silencer Mk III 1200W」はシングルGPU時と同様の安定感を発揮する。+12Vは多少の変動こそあれど、その幅は0.049Vと0.1Aを大きく下回るもので、ブレはほとんどないと言っていい。+5Vも先程のテストと同様変動幅が0.021Vと少なく、+3V出力はまったく変動がないという安定感だった。
Unigine Heaven DX11 Benchmark 3.0による各電圧の変化 |
Unigine Heaven DX11 Benchmark 3.0による各電圧の最大/最小/平均値 |
最後はSLI構成時のゲームプレイを想定、引き続き「Unigine Heaven DX11 Benchmark 3.0」計測時の出力変動をチェックする。ハイパフォーマンスを要求される3Dゲームシーンは、SLI構成の恩恵を最も受けられるシチュエーション。それだけに足元を支える電源ユニットの安定感は必須条件となる。
そして今回もこれまでのテスト同様、「Silencer Mk III 1200W」はフラットな出力特性を発揮してくれた。+12Vは「OCCT 4.3.1」時と同じ0.049Vの変動幅。+5Vと+3Vはともに0.02Vほどで、特に+3Vは平均値が最大値とほぼ同じ3.363Vのため、実質的に変動はないと言っていい。結果的にすべてのテストを振り返ってみても、計測中の変動幅は最大でも0.05Vほどとごくわずか。「Silencer Mk III 1200W」の優れた出力特性が浮き彫りになる結果となった。
ユニークなキャノンプラグを引っさげて登場した「Silencer Mk III 1200W」。ただしその完成度は見た目のインパクトを裏切らず、期待通りの出来栄えだった。
“Silencer”の名を冠するだけに静音性は確かで、真横に置いてのテストながら搭載ファンの騒音が耳に届くことはほとんどなかった。さらに電源ユニットの本分である安定出力も最高レベルのもの。ほとんどブレのないフラットな出力特性は感心で、どんなマシンに組み込んでも安定動作の実現は疑いない。メーカーが設定した7年間の長期保証もそれを裏付けるものだ。
そしてもちろん最大の特徴でもあるキャノンプラグも(コスト面での問題はともかく)実用性が極めて高い優秀なギミックだ。ノイズの影響を受けにくく堅牢な直結式と、取り回しの容易な着脱式のイイトコ取りをしたようなもので、機能美あふれる外見も製品のプレミアム感を高めている。フラット形状を採用するプラグインケーブルしかり、細かいところにも気配りが光る、隙のない製品に仕上がっているという印象だ。
1200Wの大出力は誰しもが必要とするものではないものの、いざハイパフォーマンスな構成のマシンを組む暁には「Silencer Mk III 1200W」は是非とも選択肢に入れておきたい。そもそも600Wに達するまでファンを回転させないという「Dual Thermal Control System」(Silent Mode)も、日常的に大出力を行ったり来たりするような、よりハイエンド向けの機能といえる。パワフルなゲーミング構成やオーバークロックを楽しむエンスージアストの手に「Silencer Mk III 1200W」が届くよう、11月からの国内発売開始が待ち遠しい。