絵踏一のKeyboard 一点突破 Vol.1
2012.11.08 更新
文:GDM編集部 絵踏 一
「1390131」はキーキャップひとつとっても面白い。これはModel-Mシリーズ中期頃までの特徴でもあるのだが、脱着可能な2重キーキャップが採用されているのだ。すべての列で同じキー形状が採用されるため、使用するシステムに応じてキーキャップを自由に入れ替えできるほか、メンテナンスが容易という、これまた2重のメリットがある。現行キーボードではまず見られない仕様で、これもModel-Mゆえに許された贅沢といえるだろう。さらにそれぞれのキーはすべての列に等しい距離でアクセスできるよう、基板自体をアグレッシブに湾曲させるカーブドスカルプチャー構造をとる。
また、キートップには樹脂にインクを深く染みこませる「含浸印刷」を採用。製造から20年以上が経過しているにも関わらず、印字の霞みや摩耗とはまったく無縁だ。とにかく小さいところまでしっかりコストがかかっているな、という印象を受ける。
今ではまずお目にかかれない2層構造のキーキャップ。システムによって配列が違う場合もワンタッチで入れ替えができるように、という配慮からだろうか。掃除がしやすいというメリットも大事 |
梨地のキートップ刻印には「含浸印刷」を採用。キートップに直接インクを染み込ませる技法で、物理的に削り取らない限りは刻印が消えることはない |
キー形状はすべて同じながら、マウントする鋼板をカーブ形状に湾曲させることで等距離でアクセスできるように設計された。現在は列ごとにキー形状を変えて平板上にマウントする、ステップスカルプチャー構造が主流だ |
「Shift」キーのような少し長めのキーには支柱を組み合わせ、安定性を高めている。縦長のキーにはスタビライザーが装着されていた |