エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.191
2012.11.20 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
独特な形状で異彩を放つ、ZALMANブランドのラウンドヒートシンク採用CPUクーラー。その最新作となる「CNPS9900DF」が今秋国内市場での発売が開始された。同社の製品とひと目で分かるそのスタイルは、ZALMANのアイデンティティそのもの。ともすれば同形状の既存モデルの違いに疑問を抱く人も少なくないだろう。だが、製品資料に目を通すと、放熱フィン形状に工夫を凝らした“クロスベンディングフィン”を採用し、デュアルファンが生み出すエアフロー・ロスを軽減。従来品に比べ50%向上の熱伝導率を謳う焼結金属タイプのヒートパイプと組み合わせる事で300Wクラスの冷却能力を静音動作で実現させている。
ZALMAN「CNPS9900DF」 市場想定売価税込8,980円前後(発売中) 製品情報(株式会社アスク) |
CPUクーラーには、トップフロー型とサイドフロー型の2種類が存在する。現在後者のサイドフローが主流である事は言うまでもないが、「CNPS9900DF」もそのスタイルにカテゴライズできるものの、実際にはライバルモデルとはまったく異なる設計である事を知っておきたい。
そもそもサイドフロー型はCPUに対しヒートシンクを直立させ、搭載された冷却ファンにより左右方向に風を流して冷却する。この設計から放熱フィンは冷却ファンに対し横レイアウトで幾層にも重ね合わされるワケだが、ZALMANのラウンド形状CPUクーラーは放熱フィンを縦方向にレイアウトを変え、さらに360度円を描くように配置されている。放熱フィンの大部分の面積は冷却ファンのエアフローと正対しているが、オープンフレームファンのぐるりを囲む放熱フィンは、インペラが巻き込む外周の吸い込みを利用し、余すところなく、さらによりスムーズに風を取り込む事ができる。
このように理に適ったZALMAN独自のスタイルは、単なるサイドフロー型ではなく、派生型“ラウンド・サイドフロー”として全くの別モノと考えてもいいだろう。
ZALMAN独自形状“ラウンド・サイドフロー”で、もうひとつの特徴は、ヒートパイプレイアウトにある。「CNPS9900DF」はφ6mmの銅製ヒートパイプが3本で構成。受熱ベース部だけを確認すると、あたかも6本が使用されているように見えるが、これは各々の末端が交互にレイアウトされているため。つまり一般的なCPUクーラーのように受熱ベースから伸びたヒートパイプの終点が放熱フィンの“頂上”ではなく、ラウンド形状の放熱フィンを1周し、再び受熱ベースに戻ってくるというワケだ。このスタイルは、ZALMANの同形状CPUクーラーではお馴染みの手法で、冷却能力の高さの要因となっている。さらに「CNPS9900DF」採用のヒートパイプは、内部に軸方向の溝と焼結金属を採用する「コンポジットヒートパイプ」を使用。ZALMANによれば、一般的なヒートパイプよりも熱伝導率で約50%以上の向上が謳われている。
外装パッケージでもアピールされている「コンポジットヒートパイプ」構造図 |