エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.192
2012.11.23 更新
文:GDM編集部 絵踏 一
「R7970 Lightning BE」のポテンシャルを語る上で欠かせないのが、そのパフォーマンスを裏から支えるGPUクーラー「Twin Frozr IV」の存在だ。あまり騒音に影響のない範囲でのオーバークロックだったとはいえ、クロックアップの過程でどのように挙動が変化していたのかは気になるところ。
なお、計測には「3DMark 11 Version1.0.3」実行中の最も高い数値を高負荷時、10分間何もせず放置した際の最低数値をアイドル時として、GPU温度とファン回転数を「GPU-Z 0.6.6」を使用して計測を行っている。
GPU温度計測 |
ファン回転数計測 |
結果はご覧のとおり、GPU温度とファン回転数ともにクロックが上昇するにつれて順当に数値が上がっている。ただし温度上昇に比べると回転数の上がり方はやや大人しく、OCバージョンの回転数が多少高いくらいでほぼ横一線といっていい結果になった。いずれのGPU温度も高負荷時で60℃を下回っているため、ある意味“想定内”と「Twin Frozr IV」も様子見を決めこんでいるのかもしれない。逆にまだまだ冷却能力に余裕があるということで、さらに温度を下げたい場合に手動で回転数を上げても邪魔になることはないだろう。
続いては、オーバークロックをしていても多少は気になる消費電力を確認してみる。計測環境は上記と同様、「3DMark 11 Version1.0.3」実行中の最も高い数値を高負荷時、10分間何もせず放置した際の最低数値をアイドル時として、ワットチェッカーを用いた計測を行った。
消費電力計測 |
FX-8350のTDPが125Wとやや高めなこともあり、最小環境での計測にも関わらずそれぞれの消費電力は300W半ばを楽に超えている。OCバージョンは頭ひとつ抜けだして400Wオーバーを記録、さらに上のスペックアップを狙う場合や、多数のデバイスを組み込む場合は電源ユニットもしっかり大容量モデルをチョイスしたい。
一方で出荷時とリファレンスクロックモデルの間にはそれほど大差は開かず、メーカーチューンのバランスのよさがうかがえる結果になった。
締めに紹介したいのが、先月末にAMDからリリースされたベータ版ドライバ「AMD Catalyst 12.11 Beta」の存在だ。主にRadeon HD 7000シリーズの最適化が図られ、AMD発表によれば主要なゲームタイトルやベンチマークテストにおけるパフォーマンスが大幅に向上するとしている。
そこでテストに先立ち、実際に「3DMark 11 Version1.0.3」を使用して現行の正式ドライバスイート「Catalyst 12.10」と比較してみたところ、総合スコアで8%以上、Graphics Scoreで15%ほどと顕著にスコアが上昇した。もちろん今回のテストではCatalyst 12.11 Betaを使用して計測を行なっているが、実際のゲームにおいてもかなりの恩恵が期待できるだろう。ゲーム用途のRadeonマシンならインストールは必須といえる。
上が正式ドライバスイート「Catalyst 12.10」で、下が「Catalyst 12.11 Beta」。目に見えてパフォーマンスが上昇するため、ゲーマーならインストールしない手はない |
正直なところ、見た目が前モデルの「R7970 Lightning」と変わらないせいか、新鮮味という意味ではややインパクト薄な第一印象だった「R7970 Lightning BE」。しかしGHz Editionへのモデルチェンジでパワフルなパフォーマンスがさらに向上、正常進化を果たした最高レベルのRadeonとして、GTX 680追撃の最右翼を担う製品に仕上がっている。AMDが「Catalyst 12.11 Beta」のようなアグレッシブなドライバチューニングを頑張っていることもあり、ハイレベルなゲーマーがより選択しやすい存在になった。
代々「Lightning」シリーズが特徴としている優秀なオーバークロック耐性は相変わらずで、いじって遊べる楽しさも健在。その点今回一緒に組み込んだVisheraも(性能は多少お値段なりながら)オーバークロック性能をウリにするCPUで、カスタムが楽しめる「R7970 Lightning BE」とは相性のいいカップリングといえる。ヘビーなOCユーザーには現行の“AMDフルスペック”環境というのも、結構アリな選択肢かもしれない。