エルミタ的「一点突破」PCケース編 Vol.8
2013.01.11 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
5.25光学ドライブベイ搭載により、マザーボード上の高さが約65mmに制限されている「Betty」。こうなると、CPUクーラー選びにも気をつけなければならない。そこで編集部のリクエストにより、サイズから借り受けたのは、同じく11月にリリースされたTHERMOLAB(本社:韓国)ブランドのロープロファイルCPUクーラー「LP53」だ。「Betty」のためにサイズが取り扱いを開始したかのようにデビューした「LP53」は、イマドキ珍しい全銅製ヒートシンクを採用。型番でも分かる通り、ロープロファイル=「LP」で、全高53mm=「53」な、92mmPWM冷却ファン搭載モデルだ。とは言えひとつ覚えておかなければならないのは、Intel LGA1155/1156専用であること。AMDフリークには申し訳ないが、今回は検証にあたりIntel Core i7-3770Kを用意し、「Betty」に組み込んだ状態での冷却能力テストを簡単にご紹介しておこう。
THERMOLAB「LP53」 市場想定売価税込3,980円(2012年11月発売)製品情報 |
全銅製ヒートシンクを採用。φ6mmヒートパイプは2本仕様で、ロープロファイルながら、なかなか頼もしい。なおサポートTDPは100Wまでとされている | 搭載ファンは92mm角(25mm厚)のラウンドフレーム。1,000~2,100rpm/16~27.1dBAで、Protechnicの「MTG9212LR-W25」が採用されていた |
テストに使用したのは、先日のレビューでもお届けしたMSI「B75IA-E33」。当然ながら、「LP53」を予めマウントしてから、マザーボードを「Betty」に組み込んだ |
一時主役を「LP53」に譲り、冷却能力テストを行ってみよう。CPUはIntel Core i7-3770K(3.50GHz/TB時最大3.90GHz/TDP77W)で、ストレスツール「OCCT 4.3.2」を使用。高負荷状態(100%)30分のテストを3回行い、その平均値を採用する。なお回転数は、「SpeedFan 4.47」で計測した。
外形寸法100×94×H53mmの「LP53」を「Betty」に組み込むとご覧の通り。前後に渡るブラケットを見事に回避する。なおメモリ有効スペースについては、光学ドライブの存在により、CPUクーラー同様約65mmだった |
CPU温度計測 Intel Core i7-3770K(Turbo Boost disable)/室内温度17℃ |
冷却ファン回転数 「SpeedFan 4.47」により計測 |
騒音値 デジタル騒音計により計測/室内騒音値19.1dBA ※サイドパネルを閉じた状態で、フロント部から30cmのポイントで計測 |
小型ヒートシンクには有利に働くのか、銅製ヒートシンクの「LP53」の冷却能力は意外にも高かった。今回はMini-ITXでの常用を想定し、Turbo Boostをdisableで計測してみたが、都合3回のテスト中、1度も60℃を超す事はない。また回転数をモニタすると、アイドル時で1,236rpm(公称値1,000rpm)、最大で1,923rpm(公称値2,100rpm)。騒音値は23.8~36.2dBAとなり、PCケースの中に収めてしまえば十分に及第点以上のレベル。「Betty」との組み合わせでオススメしたい。
年末進行の真っ只中に検証を行った「Betty」は、なかなかの秀作だった。良くいえば飽きのこないシンプルなデザイン、平たくいえばオーソドックスなスタイルのミニタワーケースだが、実にそつなく仕上げられている。敢えていうならば、外装カバーはもう少しカチッとした“安心感”が欲しかったが、一体成型でこれ以上の剛性を求めるには無理がある。拡張性の限られたMini-ITXならサイドパネルの開閉頻度は低く、組み上げてしまえばすぐに忘れてしまうだろう。
内部設計も構成パーツの搭載スペースを無駄なく組み合わせ、複雑な機構がない分、組み込みも容易。Mini-ITX入門機としても役割を果たしてくれるはずだ。
冒頭でも触れたように、にわかに活気づくMini-ITXフォームファクタ。売価も手頃な「Betty」を使って、Mini-ITXを遊ぼう。