エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.204
2013.01.26 更新
文:GDM編集部 絵踏 一
コンパクトなPC環境では消費電力も気になるところ。本項では各種ベンチマーク中の消費電力をワットチェッカーを使用して計測を行った。なお、それぞれのテストにおける消費電力は実行中最も高かった数値を、一方でアイドル時の消費電力は10分間何もせず放置した際の最低数値とした。
消費電力計測 |
アイドル時は動作クロックが低く抑えられることもあり、わずか42WとコンパクトPCに相応しい数値に落ち着いている。高負荷時もTDP100WのA10-5800Kを使用しているにも関わらず、すべて150W以下に収まった。搭載機能に限定した使用なら、APUの選択次第ではさらなる省電力化も狙えるだろう。
ただしグラフィックスカードを増設する場合はこの限りではないため、実際に組み上げる際は増設の有無を考慮に入れて電源ユニットの容量をチョイスしたい。
まさに凝縮されたという表現がピッタリな「A75ITX-B-E」。詰め込まれた豊富な搭載機能と、ゲームパフォーマンスもある程度まかなえるTrinityとの組み合わせはなかなかに相性がよさそうだ。特に拡張の必要がないほど充実しているフルサイズマザー並のネットワーク機能は大きな強みで、Mini-ITXをホームサーバーのベースに使いたいという向きにもマッチする。もちろん3Dパフォーマンスで多少の妥協を強いられるゲーミングシーンも、用意された拡張スロットを生かしてグラフィックスカードを増設してしまえば解決。ZOTACはショート基板のグラフィックスカードを積極的にリリースするブランドでもあり、コンパクトなMini-ITX環境でパワフルなゲーミングPC構築を考える際は理想的なカップリングになるだろう。
「A75ITX-B-E」は、とにかくユーザーがコンセプトを選択する幅が広い。ストレージ面での拡張性も良好で、セカンドPCの枠にとらわれず、メインとしての活躍も視野に入るマシン構成が十分に可能だ。
そのため、パフォーマンス重視で組み込む際は4ポートのSATA3.0とPCI-Expressスロットを生かすために、十分なストレージ搭載領域や2スロット占有のグラフィックスカードが使えるだけの余裕をもったPCケースを選択したい。逆にこれ以上の増設を考えず、あくまでコンパクトな環境構築に徹する場合、APUの選択次第ではACアダプタ駆動も実現可能だ。
小ささが身上のMini-ITXながらマザーボード側がユーザーのアイデアを邪魔することが少なく、痒いところにもよく手が届くという印象の「A75ITX-B-E」。自作の楽しさを刺激してくれる、自由度の高いMini-ITXマザーボードで遊んでみよう。