エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.205
2013.01.29 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
「Xpredator X3 Devil Red Edition」のすみずみをチェックした後は、実際に組み込みを行い、気が付いた点などをご紹介しておこう。マザーボードを収める開口部は広く、さらに余分な出っ張りがないため、一般的なミドルタワーPCケースに比べても組み込みはし易い。
マザーボード、電源ユニット等、主要構成パーツを仮組した状態 |
なにやら複数のケーブルが伸びていたフロントトップパネル部。その全てを接続して電源を入れると、フロント内部に仕掛けられたプラスチック製クリアパーツの白色LEDが鮮やかに点灯し、ロゴが発光する。また、5.25インチベイ上部からも光が漏れるようになっており、これがなかなか美しい。
内部に仕掛けられたプラスチック製クリアパーツには段差が設けられ、屈折によりバー全体が鮮やかに発光。「XPREDATOR X3」のロゴが浮かび上がるという小粋な演出は心憎い |
「Xpredator X3 Devil Red Edition」のトップパネルに目を移すと、200mm口径×1基または120/140mm口径×2基分の冷却ファン増設スペースがある。となれば、240mmサイズの水冷ラジエターを取り付けてみたいという衝動にかられる人は少なくないだろう。実は筆者も当初より目を付けており、手持ちのラジエター装着を試みた。マザーボードを固定する前に仮留めしたところ、一見問題がなく思われたが、意外にもマザーボードとトップパネル間のスペースが狭く、電源周りのヒートシンクに干渉してしまう事がわかった。
このスペースに余裕がなければ、例えラジエターが装着できても冷却ファンが搭載できない。ちなみに「Xpredator X3 Devil Red Edition」は、トップパネルに被さるプラスチック製カバーがあるものの、そこに十分なスペースがないため、外部固定も適わなかった。大型PCケースにありがちな事だが、トップパネル部にラジエター搭載を想定している場合は、マザーボードとの間隔を事前にチェックしておこう。
Koolance「HX-240HL」を取り付けてみる。トップパネル部は余裕があるので、横幅はこの通り問題ないが、、、 |
マザーボードとトップパネル間のスペースは実測で約37mm。ラジエターは装着できても、マザーボードの電源周りに装着されているヒートシンクと物理的干渉を起こしてしまう |
標準搭載のフロント200mm口径&リア140mm口径冷却ファンの動作音を、デジタル騒音計を用いて計測してみた。フロントから30cmの距離を計測ポイントとし、2つの冷却ファンを同時に稼働させた状態で、ファンコントローラーの最小(50%)と最大(100%)それぞれを計測してみる。
100%時で32.4dBA、50%時で30.1dBAという結果(室内騒音値28.9dBA)。駆動音は大口径ファン特有の低い音がはっきりと確認できるものの、決してうるさいとは感じない。実際には任意箇所に冷却ファンを増設するこになるワケだが、チョイスを間違わなければ、十分静音PCを構築することができるだろう |
最後に構成パーツ組み込み後の空きスペースを実際に計測してみた。フルタワーPCケースを謳いつつも、ATXまでのマザーボードに対応するモデルだけに、余裕を持った内部設計が際立った。
広いPCケース内部にも関わらず、敢えて対応フォームファクタをATXまでに抑えた「Xpredator X3 Devil Red Edition」だけに、マザーボード横にはまだ約65mmの空きスペースがある。決して無理をせず、比較的幅の広いケーブルマネジメントホールをレイアウトすることができている。なおCPUクーラー有効スペースは186mmとされている |
主要箇所のスペースを計測。(1)拡張カードスペースは約310mm、さらに拡張スロット固定部の出っ張りがない(2)電源ユニット搭載スペースは約330mmだった。奥行き140mmの電源ユニットを搭載させてみると、まだ約185mm(3)の空きスペースを確認。ちなみに計算が合わないのは、電源ユニット固定部には防振用の枠があるため、スペースは-5mm削られている |
ブラックベースにレッドをまとうAeroCool「Xpredator X3 Devil Red Edition」は華やかな製品だ。スライド式トップパネル部の近未来的テイストも相まって、ゲーマー向けPCケースの要件を十分にクリアしている。ただし、ごく一般的なユーザーならそのスタイルに気後れしてしまうかもしれない。
その実、「Xpredator X3 Devil Red Edition」の内部に目を向ければ、意外にも基本に徹した“昔気質”の一面も覗かせる。カラーリングとは裏腹に“実直な”PCケースだった。トップパネルはこの際無視して、オールブラック塗装にすれば、ユーザーを選ばないモデルとして受け入れられるだろう。だがそれではつまらない。自作PCの良さは、出来合いのメーカー製にはない個性。PCを”ただの道具”としてではなく、パーツ選びそのものから楽しむ自作派にとって、華やかなゲーマー向けPCケースは無くてはならない存在だ。その中にあって、AeroCool「Xpredator X3 Devil Red Edition」は十分な存在感を放つ良品といえるだろう。