エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.212
2013.02.27 更新
文:GDM編集部 絵踏 一/松枝 清顕
NVIDIA GeForce GTX 660のチューンモデル「GTX660-DC2O-2GD5」。その冷却を司るのは、ASUS自慢のオリジナルVGAクーラー「DirectCU II」だ。昨今のグラフィックスカード事情は、クロックチューンや電源周りの強化、さらに基板上にある搭載部品の高品質化がアピールされる一方で、高い冷却能力を謳うオリジナルVGAクーラーが注目を集めている。実は筆者も「DirectCU」の評判を聞き、前世代の「HD 6670 DirectCU」(型番:EAH6770 DC/2DI/1GD5)を購入したが、その高い冷却能力に感心させられた。「GTX660-DC2O-2GD5」に実装される「DirectCU II」は、ひとつ世代が進化させているだけに、さらなるパフォーマンスは大いに期待できる。
ASUS最新のオリジナルVGAクーラー「DirectCU II」。GPUに直接触する3本のヒートパイプから、大型ヒートシンクへと熱を拡散させている |
GPU周囲にある4本のネジを外し、VGAクーラー「DirectCU II」の細部をチェックしていこう |
ヒートパイプは一般的なCPUクーラーで使用されるφ6mmより、さらに2mm太いφ8mm口径を採用。GPUと直接触する部分はフラット化され、一切の凹凸を感じさせない |
φ8mmヒートパイプはGPU受熱ベースを中心に、左右のアルミニウム製放熱フィンへと分かれていく |
アルミニウム製放熱フィンは、拡張スロット側に比べ、補助コネクタ側の表面積が広く設計されている。なおコンデンサと接触する部分には、保護用スポンジが装着されていた |
82mm口径ファン2基の周りに覆い被されたプラスチックカバーには、「DirectCU II」のロゴが刻まれている。グラフィックスカードのハードウェアスペックに負けず、存在感がアピールされているというワケだ。なお基板セッションでも触れた通り冷却ファンのコネクタは5pin仕様だ |
VGAクーラーの善し悪しを見極めるにはGPU温度を計測するのが常だ。当然それが本筋だけに、後半のテストセッションで検証を行うが、まずはその前に、高負荷状態における、「DirectCU II」の温度分布をチェックしておこう。
計測方法は、「GTX660-DC2O-2GD5」を実際に動作させ、ベンチマークソフトによる高負荷状態で、「DirectCU II」の要所を非接触型温度計により計測。グラフィックスカードの、どの部分が高温になるのかを検証してみる。なお、ベンチマークソフトは最新の「3DMark」を使用した。
ポイント別温度計測(使用機材:Intel Core i7-3770K、ASUS「P8Z77-V PREMIUM」、DDR3 8GB) |
最初にアイドル状態におけるポイント別温度計測結果を見ていこう。計測ポイントは合計5カ所だ。GPUに最も近い受熱ベース部が23.4℃。最も低いポイントは拡張スロット側下部の20.5℃だった。逆に最も温度が高いのはメモリ側の末端下部32.4℃で、最少最大差は11.9℃となった。
ポイント別温度計測(使用機材:Intel Core i7-3770K、ASUS「P8Z77-V PREMIUM」、DDR3 8GB) |
次に高負荷状態での計測では、GPUは36.8℃となり、アイドル時比で+13.4℃上昇している。さらにアイドル時で最も温度が高かった末端下部は、43.1℃で、その差は10.7℃の上昇だった。ハイスペックのグラフィックスカードは、共通して電源周りの温度上昇が顕著になる。「GTX660-DC2O-2GD5」も例外ではなく、その傾向が見られた。
検証により、5つのポイントすべてが高負荷時に温度上昇がみられるが、これはVGAクーラーの受熱ベース部とヒートパイプがしっかりと機能していることを意味する。10℃程度の上昇は”正常”であり、逆に数値が低くなれば、ヒートパイプの熱移動と、アルミニウム製放熱フィンへの熱拡散サイクルがうまく機能していない事が疑われる。この結果から、「DirectCU II」はオーバークロックチューンされたGeFore GTX 660をVGAクーラー全体で冷却されていることを意味する。
「DirectCU II」の実力を垣間見た後は、「GTX660-DC2O-2GD5」のテストセッションだ。各種ベンチマークソフトを使用し、実用におけるパフォーマンスを検証してみよう。
なお、テストにあたってはリファレンスモデルに対するアドバンテージを確かめるため、ASUS製のチューニングツール「GPUTweak 2.3.0.2」によるクロック調整でリファレンスクロックを再現。両者を比較してみることにした。ただし、ブーストクロックは自動オーバークロック機能「GPU Boost」の影響で、リファレンスクロックより高い1,084MHz(リファレンス:1,033MHz)で動作してしまったため、リファレンスクロックの再現値はあくまでも参考値としてとらえていただければ幸いだ。
また、今回サンプルの提供を受けているASUS国内正規代理店の株式会社エムヴィケーからIntel Z77Expressマザーボード「P8Z77-V PREMIUM」を借り受け、テストに使用している。それ以外の環境は以下の表を参照のこと。
「GPUTweak 2.3.0.2」を使用してリファレンスのブーストクロック1,033MHz(表記上は1,032MHz)を再現する。しかし「GPU Boost」の影響でブーストクロックは1,084MHzまで上昇していた |
出荷時クロックも「GPU Boost」の影響を受け、ブーストクロックが1,136.6MHzまで上昇している。一方でアイドル時は省電力機能が働き、コア324MHz、メモリ162MHzまでクロックが低下する |