エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.215
2013.03.16 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
エアフローレイアウトで特徴的なのは、3.5インチシャドウベイ部にマウントできる、120mmファン搭載スペースの存在だ。とは言うものの、シャドウベイ部に冷却ファンが増設できるPCケースはよく見かけるが、「Fulmo ST」は正面から縦方向にマウントする一般的なスタイルだけでなく、右側面にも2基の120mmファンがマウントできるようになっている。
ストレージ格納部の冷却補助用に120mmファンが縦方向/横方向に増設可能 |
縦方向に120mmファン2基を増設してみたところ。フロント吸気ファンからのストレートエアフローにより、SSD/HDDの熱を素早く排出することができそうだ |
試しに横方向にも120mmファンをマウント。右サイドパネル部は塞がれていることから、ストレスなく左右方向のエアフローが構築可能とはいかない。このレイアウトから、ストレージに直接風を当てるエアフロー方向にするのが一般的だが、フレッシュな外気で冷却が賄えるわけではない事は覚えておこう |
先月末から店頭に並び始めたENERMAX「Fulmo ST」。市場想定売価10,980円は、ミドルタワーPCケースの中でも”お求めやすい”価格の部類と言えよう。そして今回の検証を改めて振り返ってつくづく思うのは、これまで製品の善し悪しを見分けるひとつの目安だった「価格帯」という「物差し」は、まったく役に立たなくなってしまったということだ。
「Fulmo ST」最大の魅力は、240mm(または280mm)サイズの水冷ラジエターが搭載できる設計にある。またPCケースの要となる充実したストレージ格納スペース、そして安定動作には欠かせないエアフローレイアウトなど、いずれも隙が無い。ならば工作精度に難ありかと思いきや、その心配も無用だった。
ライバルモデルがひしめく1万円台前半のPCケースにあって、「Fulmo ST」はなかなかの秀作だった。