エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.219
2013.03.26 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
メンテナンスフリーのオールインワン水冷キット市場が、次なる段階に差し掛かっている。今や最も懸念された液漏れ等のトラブルは皆無に等しく、空冷同様に扱えるほど信頼性は格段に向上。さらに販売価格も落ち着いていることから、CPUの冷却機器として特別な存在ではなくなっている。一方で同一OEM製品の圧倒的なシェアから、ブランドは違えど中身はほぼ同じという状態が続いたことで、性能差が横並びになり、やや食傷気味だった感は否めなかった。一方で大幅に設計を変えることが難しいオールインワン水冷キットだが、近頃では独自技術をアピールする製品が徐々に増え始めている。
そんな中、各社が着目しているのは水冷ヘッドだ。外観からは分からないポンプ一体型水冷ヘッド内部を改良することにより、ライバル製品との差別化を図ろうとしている。
今回の主役、Cooler Master「Seidon 120M」もしかり。水冷ヘッド部に最大のウリであり、冷却技術のひとつであるマイクロチャンネルと呼ばれる銅製ヒートシンクの微細加工技術により、高い冷却能力を確保。新規導入された高耐久ポンプとの組み合わせにより、一般的なマイクロチャンネル採用モデルの中でも高いポテンシャルが発揮されるという。
Cooler Master「Seidon 120M」(2月15日発売) 市場想定売価税込12,000円前後(製品情報) |
CPUと直接触する銅製受熱ベースの裏側に、ヒートシンクのような役割を果たすブロックがある。これが「Seidon 120M」の生命線となる、マイクロチャンネルと呼ばれる冷却技術だ。
「Seidon 120M」で最も重要な冷却技術のひとつマイクロチャンネル。数多ある水冷キットと差別化を図るべく、銅製ヘッド部をより微細に加工。マイクロチャンネルはある意味、「Seidon 120M」の善し悪しを決定する生命線といえる |
オールインワン水冷キットの冷却ロジックは、CPUの熱を水冷ヘッドに伝導させ、封入された冷却水をポンプで循環。水温が上昇した冷却水を冷却ファンが搭載されたラジエターで冷やす。このサイクルを続けることで、CPUの温度を下げるわけだ。
そこで重要なのは、一連の動作の中で、水冷ヘッドの受熱能力を高め、さらに冷却水のスムーズかつ効率のいい流れを作り上げること。各社がそこに着目し始めた中で、「Seidon 120M」は小型かつ広い表面積を実現するマイクロチャンネルを水冷ヘッドに採用している。ちなみにCooler Masterでは、このマイクロチャンネル技術をより微細加工することで、冷却液が通過する接触面積を稼ぎ出している。これを同社では”Ultra-Fine”マイクロチャンネルと名付けられている。