エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.220
2013.03.27 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
ASRockユーティリティ「AXTU」により、「G-Master Hydro-GK」の動作状況がリアルタイムモニタできる事がお分かりいただけただろう。次に標準構成の定格動作におけるCPU温度およびGPU温度をチェックしておこう。テストには「OCCT 4.4.0」を使用。1時間の高負荷テストをかけ、「AXTU」で各温度を計測している。
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「OCCT 4.4.0」(1時間)/室内温度14.5℃(評価サンプル定格動作) |
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「OCCT 4.4.0」(1時間)/室内温度14.5℃(評価サンプル定格動作) |
CPU温度を見ると、アイドル時で32℃、高負荷時で64℃だった。またGPU温度はそれぞれ29℃と62℃となり、このクラスの温度としてはすこぶる良好。まだまだ余力がある印象だった。
次に高負荷時における動作音(騒音値)を検証する。テストはPCケース前面から30cmの距離にデジタル騒音計を置き、数値をモニタしている。
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デジタル騒音計による動作音テスト(室内騒音値28.9dBA) |
室内騒音値28.9dBAに対し、アイドル時は29.3dBAを計測。これは誤差の範囲内と言える数値で、ほぼ室内騒音値と同じという事になる。とは言え、デジタル騒音計で計測できない範囲での音はかすかに感じ取ることはできる。また、高負荷時では38.3dBAという結果。これはトップ部に装着されたCPU用ラジエター搭載120mmファンの回転数上昇によるものだ。
ひとつ付け加えておくと、サイコムの製品サイトに掲載されている同スペックの高負荷テストでは、CPU用ラジエター搭載120mmファンの回転数が876rpmを示している。編集部の評価サンプルでも900rpm台で推移していたが、しばし1,200rpm台まで回転数が上昇することがあった。よってここでは最大値を掲載している。それでもうるさく感じることはなく、GPU用ラジエター搭載120mmファンもむやみに高回転にならない。結果的に「G-Master Hydro-GK」は十分に静音仕様のデスクトップPCと言い切って問題ないだろう。Fractal Design「Define R4」の遮音構造も功を奏しているようだ。
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Fractal Design「Define R4」のサイドパネルにはビチューメン素材の防音シートが装着されている。「G-Master Hydro-GK」の静音動作にも大きな役割を果たしてくれている |
サイコムの最新モデル「G-Master Hydro-GK」を数日に渡り借り受け、細部をくまなくチェックしてきた。実はこの企画にあたり、通常よりも短く検証スケジュールを想定していた。従来ならば、借り受けたPCパーツを自分で組み込みながら検証を行うワケだが、なにより「G-Master Hydro-GK」はすでに完成している。さらに、自分以外の人が組込んだPCをバラバラにする事には抵抗もあるため、構成パーツを中心とした、ハードウェアの解説を進めていこうと考えていた。しかし作業を進めるうちに、それは大きな考え違いであることに気付かされる。
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外見上、「G-Master Hydro-GK」はミドルタワーPCケースを使った、ごく一般的なデスクトップPCだ。しかしながら、このモデル最大の特徴であるCPUおよびGPUに対する水冷化はもとより、サイコムの組込み技術の巧みさには大いに感心させられた。通常の検証記事であれば、各種ベンチマークテストによるPCの持つポテンシャルを前面に押し出すことになるが、その全てを削ってでも「美しい自作」をお伝えしたかった。もちろんPCとしての「G-Master Hydro-GK」は、ハイエンド志向のモデルに仕上げられているが、それをもたらすのは構成パーツであり、カスタマーではない。(この構成で非力なワケはない)
BTOを選ぶ理由は、(1)自分で組込むことができない、(2)自作からしばらく離れ自信がない、(3)面倒だ、、、などの理由が想像できる。しかしここに加えるならば、(4)サイコムの組むPCが欲しい、としてもいいだろう。我ながら少々褒め過ぎの感も否めないが、日々自作漬けの生活を送る筆者でも、ここまでのこだわりを持って組込むことはできないだろう。
サイコムの経験に裏打ちされたその完成度の高さこそ、「G-Master Hydro-GK」最大の特徴と言える。