エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.224
2013.04.10 更新
文:GDM編集部 池西 樹
省電力プロセッサに、エンコードやレンダリングのような重量級の処理を期待するのは少々ナンセンス。そこで、今回はWindows 7 エクスペリエンスインデックスを使って、基本性能をチェックしてみることにした。
Windows 7 エクスペリエンスインデックスのスコアは「4.6」で、標準的な運用なら十分なパフォーマンスを発揮 |
グラフィックスが「4.6」とやや足を引っ張るが、それ以外はすべて5.0を超えており十分なパフォーマンス。とりわけプロセッサは、別のレビューで触れたCeleron 847の「3.9」から1.5ポイント上昇しており、テストをしていてもレスポンスの違いを十分感じることができた。これまでの省電力CPUを利用する場合、ユーザー側にある程度の忍耐力が必要とされたが、Celeron 1007Uでは大幅に改善されている。
また、ストレージ周りがSATA3.0に対応しているのも、大きなメリットと言えるだろう。今回は手持ちのPLEXTOR「PX-128M3P」を組み合わせているがプライマリ ハードディスクは満点の「7.9」。「CrystalDiskMark 3.0.2e」による簡易チェックでもシーケンシャル読込以外は、ほぼ公称値通りのパフォーマンスを発揮していた。
「CrystalDiskMark 3.0.2e」の結果。シーケンシャル読込が495MB/secとやや低めな点を除けば、公称値通りのスコアを計測。Intel HM70 ExpressのSATA3.0(6Gbps)ポートは最新SSDの性能をしっかりと引き出すことができる |
基本パフォーマンスを確認したところで、次に負荷テスト「OCCT 4.3.2」を使って冷却性能をチェックしていこう。テスト時の室温は21.8℃、プログラムは「CPU:OCCT」を選択し、テスト時間は30分間とした。
OCCT 4.3.2 Core #0 Temperature |
OCCT 4.3.2 Core #1 Temperature |
アイドル時の温度は[Core #0]で32℃前後、[Core #1]で34℃前後。高負荷時は[Core #0]で最高47.5℃、[Core #1]で最高52℃と冷却性能に不安はない。デスクトップ版Ivy Bridgeでは、ヒートスプレッダにやや問題を抱えているが、「GA-C1007UN-D」のCeleron 1007Uでは、コアがむき出しのため、効率よく冷却できているのだろう。
また、騒音値については60mmファンではかなり低速な2,500rpmのため、バラック状態でもまったく気にならなかった。ちなみに、Celeron 1007UのT-junction温度は105℃と耐性も高く、かなり劣悪な環境でもCPU自体に問題はないだろう。
最後に最も注目の消費電力を確認しておこう。アイドル時は10分間放置した中で最も低い値、高負荷時は「OCCT 4.3.2」実行中で、最も高い値とした。
アイドル時と高負荷時の消費電力 |
アイドル時で30.4W、高負荷時でも43.8Wまでしか上がらず、60Wの小容量ACアダプタでも十分駆動が可能なレベルに収まっている。最近では、ワットパフォーマンス重視のため、デスクトップCPUの消費電力も下がってきているが、まだまだ省電力向けCPUとの差は大きいことがわかる。中でも、高負荷時の低電力動作は素晴らしく、Core 2世代やAthlon X2世代のPCをサブマシンに利用しているなら、そろそろ換装を検討してもいいだろう。
Atomプロセッサの登場以来、広く普及した省電力プラットフォームだが、デスクトップやノートPCとの性能差が大きく、どうしても使う側に工夫や忍耐力が要求されてきた。しかし、Celeron 1007Uを搭載する「GA-C1007UN-D」では、テスト中でも“もたつき”を感じる場面は驚くほど少なく、これまでより体感性能は大幅に改善されている。また、D-SubとHDMIの2系統のディスプレイ出力による、デュアルディスプレイにも対応することから、あくまでも私見ながら、オフィス向けアプリケーションが中心なら普段使いのPCとしても、十分実用的なレベルに達している印象を受けた。
当然、消費電力はこれまでと同様低いレベルで維持され、デュアルギガビットLANや「Ultra Durable 4 Classic」準拠の高品質コンポーネント採用など、本来省電力プラットフォームに求められる常時起動PCに向けた機能も充実。様々な用途に利用できるフレキシビリティの高い製品に仕上がっている。
国内発売は、4月中旬予定ということで、間もなく開始される。願わくばリーズナブルな価格での登場を切に期待したい。