エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.230
2013.04.29 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
フルタワーPCケースともなれば、さぞや内部スペースは広いであろうと誰もがイメージする。しかし最近のミドルタワーPCケースの設計はよく出来ており、場合によってはフルタワーPCケースよりも、構成パーツの搭載スペースが広くとられている場合が少なくない。フルタワーという語感から、内部寸法を気にせずに増設パーツを購入したものの、取り付けられないといった悲惨な状況に出くわすことはままある。
そこでここからは実際に組み込みを行い、主要部分の空きスペース計測を中心に、”組み込み感”をポイント毎に解説していきたい。
近頃のPCケースは、最低でも拡張カード(主にグラフィックスカード)と電源ユニットの有効スペース、さらにCPUクーラーの搭載可能高が開示されるようになった。これはユーザーにとって有益な情報だが、もうひとつ付け加えるならば、ラジエターの搭載スペースも詳細を明記すべきではないだろうか。
多くのPCケースが電源ユニットボトムレイアウトになり、トップパネル部には120mm口径以上の冷却ファンが複数搭載できるようになっている。さらに240mmラジエターを採用するオールインワン水冷ユニットも選択肢が増えており、トップパネル部スペースの重要性が高まっている。
これまでの検証でも、ラジエターのスペースが不十分で、マザーボードと物理的干渉を起こしてしまう事が幾度となくあった。「Define XL R2」のように「240/280mmラジエター取り付け可能」と開示されていれば問題はないが、取り付け不可のモデルに限ってなにも明記されていないのは、”確信犯”と言われても仕方がない。マイナスイメージをひた隠しにしたい気持ちは理解できるが、ここはユーザー側の立場になって、ラジエター搭載可否はすべて開示してほしい。
マザーボードの上部とトップパネル間は、実測で約70mm。一般的25mm厚保冷却ファンは言うに及ばず、これならラジエターも搭載できそうだ |
240mmサイズラジエター、Koolance「HX-240HL 11FPI」を搭載してみると、トップ部のケーブルマネジメントホールが隠れない程度。さらに120mm口径ファン×2基がマウントされるワケだが、空きスペースは十分であることが分かる |
次に拡張カードの有効スペースをチェックしよう。フルタワーPCケースの「Define XL R2」は幅も広く、内部スペースにも余裕がある。加えてシャドウベイはユニット着脱式だけに、これを取り払えば公称値480mmまでの有効スペースが生まれる。肝心なのはシャドウベイユニットそのまま状態での有効スペースだが、こちらも公称値330mmと十分。シャドウベイを犠牲にすることなく、多くのグラフィックスカードが搭載できるはずだ。
試しに搭載してみたグラフィックスカードは長さ270mm。シャドウベイユニットを取り外すことなく、余裕を持ってマウントできてしまう |
十分なCPUクーラー搭載スペースを有するモデルだけに、電源ユニット搭載スペースも期待大。ただし若干気になるのは、標準搭載される140mm口径ボトムファンの存在だ。140mmのスペースが予め占有されているという事は、ロングタイプの電源ユニットをチョイスした場合、標準ファンを取り外す事になりそうだ。
そこで手持ちの”最長電源ユニット”CORSAIR「AX1200i」をマウントしてみたところ、これがジャストサイズ。奥行き200mmのロングタイプだが、140mm口径ファンを取り外すことなく収まってしまった。ただし考慮しなければならないのは、電源ユニット側のコネクタスペース。筐体自体がマウントできても、コネクタ(またはケーブル)が140mm口径ファンに干渉する場合がある。奥行き180mm程度であれば問題はないが、極端に長い電源ユニットを使いたい場合は、事前にコネクタ位置を確認しておこう。
一般的な電源ユニットの奥行きは150~180mm程度だが、200mmのロングタイプでも難なく搭載する事ができた |
ロングタイプ(D200mm)電源ユニットとボトム140mm口径ファンの位置関係。絶妙な収まり具合だが、コネクタレイアウトによっては、冷却ファンのフレームにぶつかる可能性がある。あまりやり過ぎないように |