エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.248
2013.07.17 更新
文:GDM編集部 絵踏 一
最後は同じくオンラインタイトルより、人気MMORPG「ファンタシースターオンライン2」のベンチマークテストを実行。品質設定はプリセットの「簡易描画設定」を最大の“5”にセットし、解像度は1,280×720ドットと1,920×1,080ドットの2パターンでテストを行った。
ファンタシースターオンライン2ベンチマーク |
結論からいえば、いずれもモデルでも快適プレイは間違いなし。ただしやや負荷が軽いテストとあって、動作クロックの違いが素直にスコアに現れている。その差はリファレンス比において、出荷時クロックとOCバージョンでそれぞれ10%と25%ほどとかなり大きい。パフォーマンスの違いを実感する分にも面白い結果といえそうだ。
パフォーマンス面ではクロックアップによる明確な性能向上をみせた「H779QMT1GD」だが、当然その影響は冷却面にも及んでいるはず。そこで本項では、ベンチマークテスト中における「IceQ X2」の挙動をGPU温度とファン回転数から読み取ってみようと思う。
なお、計測には「3DMark」の“Extreme”プリセットを選択し、実行時における最も高い数値を高負荷時、逆に10分間何もせず放置した際の最低数値をアイドル時として「GPU-Z 0.7.2」を使用したチェックを行った。
GPU温度計測 | |
ファン回転数計測 |
まずGPU温度だが、最も動作クロックの高いOCバージョンでも高負荷時に60℃を下回った。出荷時クロックを含め、リファレンス比でみても温度差は妥当なもので、効率よく冷却されているという印象だ。
一方でファン回転数に目を転じてみると、こちらはほとんど変化がない。最小騒音レベルを維持するという「IceQ X2」の特性を反映してか、OCバージョンでもリファレンス比4%(+58rpm)ほどの回転数上昇にとどまっている。どのクロックモデルでも騒音を意識するシーンはまずなかったが、それも頷けるというものだ。
最後は各動作クロックにおける「H779QMT1GD」の消費電力をチェックしよう。ミドルレンジのモデルだけに、パフォーマンスアップと引き換えにできる電力増加は限度がある。果たしてクロックアップの影響はどれほどか、ワットチェッカーを使用して計測してみることにした。計測環境は上記と同様、「3DMark」の“Extreme”プリセット実行時における最も高い数値を高負荷時、10分間何もせず放置した際の最低数値をアイドル時と設定している。
消費電力計測 |
アイドル時はいずれも省電力モードに入ることもあり、全くの横一線。そして肝心の高負荷時における消費電力だが、リファレンスとの比較による最大の上昇幅は15Wだった。おそらく500W級以上の電源ユニットを使用していることを想定すれば無視できる範囲で、大きな影響はないといっていい。「H779QMT1GD」がオーバークロック耐性に優れるモデルということもあり、積極的なパフォーマンスアップを狙ってカスタマイズを楽しんでみるのも悪くなさそうだ。
思えば筆者がオンボードVGAを卒業して、初めて手に取ったグラフィックスカードがHIS製だった。とにかく静かなものを、というリクエストにショップスタッフが「それならば」と薦めてくれたのが、初代「IceQ」搭載モデル。Radeon 1000番台の頃の話にはなるものの、当時盛んだった換装用VGAクーラーに勝るとも劣らない冷却パフォーマンスに感心させられたのを覚えている。そしてその出来栄えの良さは現行のハイエンドクーラー「IceQ X2」もそのまま継承、効率よく熱を奪い最小レベルの騒音に抑える、“静音の老舗”ならではの逸品に仕上がっている。昨今では静音仕様を謳うモデルが巷にあふれているものの、いまだに「IceQ」シリーズが最高峰クーラーの一つであることに疑いはない。
長年に渡る静音設計とグラフィックスカード製造のノウハウが結実。「IceQ X2」と「iPower」を装備するHIS製品は、欲張りかつ完成度が高い |
さらに静音だけにとどまらない魅力が、パワフルかつ高耐久な「iPower」仕様の基板デザインだ。すべてのモデルに搭載されるわけではないものの、それだけに搭載モデルのポテンシャルと信頼性は折り紙つき。単に安定動作を求める向きにはもちろん、“ツルシ”の状態で使うに飽き足らないパワーユーザーにもマッチする。静音高冷却な名物クーラーとのカップリングも相性抜群、静かで遊べるRadeonを探しているなら気になる選択肢になるだろう。