エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.248
2013.07.17 更新
文:GDM編集部 絵踏 一
静音クーラーの草分け的存在であるHIS製グラフィックスカード一番の自慢は、優れた静音性と冷却性能を合わせ持つオリジナルクーラー「IceQ」シリーズだ。「H797QMC3G2M」と「H779QMT1GD」に搭載される「IceQ X2」はその3世代目にあたるモデルで、リファレンスクーラーに比べ15dB静粛かつ17℃以上の温度低下を実現している。
モデルごとにデザインを最適化させているのはご覧の通りだが、本項では数あるVGAクーラーでも最大級かつ最高峰の冷却パフォーマンスを誇る「H797QMC3G2M」の搭載モデルにフォーカス。巨大な銅製ベースのヒートシンクにφ8mm口径とφ6mm口径を組み合わせた計5本のヒートパイプ、89mm径の静音デュアルファンといった、一級の冷却機構に迫ってみよう。
「IceQ X2」の優秀な装備を眺めたところで、気になるのはその実効性だ。本項では実際に「H797QMC3G2M」を動作させ、高負荷状態における挙動をチェックしていこう。ベンチマーク動作中に「IceQ X2」の要所を非接触型温度計により計測。温度分布を把握するとともに、グラフィックスカードのどの部分が高音になるのかを検証していく。なお、ベンチマークテストには「3DMark」の「Fire Strike」より、最も負荷の高い“Extreme”プリセットを使用した。
「IceQ X2」ポイント別温度計測 |
最初に計5箇所で計測を行ったポイント別の温度計測結果を見ていこう。最も高い温度を計測したのは受熱ベース付近で49.6℃、逆に最も温度が低かったのは補助電源に近い末端部で35.2℃という結果だった。GPUコアに最も近い受熱ベース部が熱をもつのは自然な成り行きだが、注目したいのは各所の温度上昇幅だ。中心部が+12℃と突出しているほかは、おおむね6℃~7℃といったところで、広範囲の上昇幅が1℃に収まっている。つまるところ、「IceQ X2」は広いクーラー面積の全体を使い、効率よく冷却を行なっているということだ。健全な温度上昇から、受熱ベースとヒートパイプもうまく機能していることがうかがえる。