エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.249
2013.07.20 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
スリムタイプの「HFrame mini」だけに、CPUクーラーの選択肢が限られてしまうのは致し方ない。有効搭載スペース(高さ)を計測すると、実測で70mm弱程度。実質トップフロー型に限られることから、冷却ファンの吸気スペースを考慮すれば、全高60mm程度が妥当となりそうだ。
冷却ファン吸気スペースまで考慮すれば、全高60mm台のモデルが妥当。冷却能力はさておき、Intelリテールクーラーは収まりがいい |
拡張カードの増設といえばグラフィックスカードだが、最下部に用意されたスロットはLowProfile×1段仕様。出力インターフェイスが2段構えのグラフィックスカードが多いだけに、物足りないと感じる人もいるだろう。筐体の高さが低いだけに、ここは我慢だ。なお拡張カードの搭載スペースを計測したところ、実測で奥行き180mm程度。「HFrame mini」の全体寸法からは妥当なレベルと言えそうだ。なお拡張カードを挿していない状態では、このスペースが貴重なケーブル類の行き場になる。実際に増設した場合は、余ったケーブル類の処理に気遣いが必要だ。
そのスタイルから贅沢は言えない拡張カード増設スペース。グラフィックスカード等を搭載した場合、ケーブルの取り回しに若干苦労するかもしれない |
In Winが積極的に展開するオープンエアケース。初のMini-ITXモデルとなる「HFrame mini」には冷却ファンが搭載されていない。密閉されていない”オープンエア”というフレーズから、自然気流によりいかにも通気性がいいファンレスPCケースというイメージを持つかもしれない。In Winの製品サイトにはフロント、トップ、ボトムの3カ所から外気が取り込まれ、リアに排出されるという理想的なエアフローのイラストが掲載されてるが、現実はやや異なる。
組み込みを行い実際に起動してみると、トップとリアから緩やかに風が排出されている事が分かる。スリムタイプの密閉型Mini-ITXに比べれば、オープンエアケーススタイルは当然、熱がこもりにくいだろう。とはいえ、内部容積との兼ね合いを考慮し、ファンレスであることを念頭にパーツのチョイスをしてほしい。
In Winが4作目にして”オープンエアケース”というひとつのブランドを見事に確立した。
冒頭でも触れたように、1作目の「X-Frame」を見たとき、その斬新なデザインに心を惹かれたものの、実用としては想像し辛いと、誰もがすぐに冷静さを取り戻したことだろう。世の中には「欲しいけど買わない」という物がたくさん溢れている。2作目「H-Frame」になって、ようやくPCケース然としたスタイルになったものの、3作目「D-Frame」では、パイプを組み合わせたスタイルを採用。またもや実用からかけ離れたかと思いきや、実際には常用を意識した製品である事は検証記事を読むことでお分かり頂けるはずだ。そして今回の「HFrame」は、さらに実用的な作りと、遊び心が許されるセカンドPCには最適なMini-ITX対応にする事で、ハードルは一気に下がった。
ネックとなるのはやはり価格かもしれない。しかしながら、構成部品の予算をPCケースに割いても十分に所有欲を満たしてくれる製品に仕上げられている。置き場所に困らないスリムなブックスタイルは、同梱される強化ガラス製サイドパネルに換装させ、内部の様子を机上で楽しみながら、長く付き合って行けそうだ。
真横からは面、正面からは縦一列の線となる「HFrame mini」。購入者から高い評価が得られる事は間違いないだろう。