エルミタ的「一点突破」 Vol.30
2013.08.11 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
検証の最後に、非接触型デジタル温度計を使って、ヒートシンク部のポイント別温度を計測してみよう。計測ポイントは計7箇所で、高負荷状態30分経過後の状態をチェックしている。なお受熱ベース部はセンター部にリテンション金具がある事から、側面のCPU接触部に最も近い箇所を選んだ。
搭載ファン標準回転時 室内温度28.6℃/湿度53% |
まずは冷却ファンのコネクタをマザーボードに直接挿し、標準回転での温度状況をモニタ。最も温度が高い部分はボトムエリアの拡張スロット側で34.5℃。逆に最も温度が低い箇所はトップ中央の30.3℃で、その差は4.2℃になった。CPUクーラーの特性通り、中央エリアより下部の温度が高く、上部は低い。つまり「NH-U14S」は、素直に熱拡散が行われている事がわかる。なお比較的温度が高い中央部の34.1℃については、冷却ファンの風が発生しない軸とモーター部分に相当する事が影響しているのかもしれない。
L.N.A減速ケーブル接続時 室内温度28.6℃/湿度53% |
冷却ファンの回転数を減速させる「L.N.A」接続時、最も温度が高い部分と低い部分は、標準回転時と同様の結果になった。それぞれ35.2℃と30.2℃で、高温部は標準回転時より0.7℃高い。さらに受熱ベース部を比較すると、標準回転時はに比べ1.1℃高くなっている。高温エリアはいずれも1℃程度の温度上昇が見られる事から、冷却ファンの回転数を少し落とすだけでヒートシンク自体の発熱が増え、場合によってはPCケース内部の温度上昇にも少なからず影響が出るかもしれない。「L.N.A」は静音化にフォーカスした付属品だが、PCケース内部に収めて動作音が気にならないならば、無理に接続する必要はないだろう。
今回もNoctuaらしく、完成度の高いCPUクーラーに仕上げられていた。エルミタ編集部とNoctuaは比較的付き合いが長いが、開発者の熱意、設計理念、クオリティは一貫しており、僅かにも揺らぐことがない。これまでの製品ラインナップを振り返れば、やややり過ぎた製品もあったが、市場の反応を察知して軌道修正をしてきている。また研究熱心なメンバーが集まるNoctuaだけに、製品リリーススパンは長いものの、その分他社にはない絶対的安定感を維持してくる。これぞNoctua最大の武器だ。
「NH-U14S」は市場のニーズに応えたナロータイプヒートシンク採用のサイドフロー型CPUクーラー。Noctuaらしからぬおとなしめの狙いに目新しさを感じない人もいるだろう。しかし前述の「一貫」した「安定感」は十分に感じさせてくれる。CPU買い替えにあたり初めてのNoctuaを検討するユーザーにも、その良さが伝わるだろう。雰囲気のある良品という印象を強くもった。
Noctua「NH-U14S」総合評価 | |