エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.261
2013.08.29 更新
文:GDM編集部 Tawashi
2013年6月11日に発表された、Socket AM3+対応の「FX-9590」は、コンシューマ向けCPUとして世界で初めて5GHz動作を達成。基本的なアーキテクチャは、Visheraコアを採用した「FX-8350」等と同様。コア数やキャッシュ容量に違いはない。ちなみに「FX-8350」はベースクロック4.0GHzで、独自クロックアップ機能「AMD Turbo CORE Technology」により、最大4.2GHz動作を実現したTDP125WのCPUだ。
今回の検証で使用した「FX-9590」。現時点で国内市場向け単体販売の予定はない |
つまり「FX-9590」は、既存の「FX-8350」をベースに、より高クロック動作ができる個体を選別したAMD公認のオーバークロックCPUということになる。スペックはベースクロックが4.7GHz、さらに「AMD Turbo CORE Technology」によって最大5.0GHzを実現。しかしその代償も大きく、TDPは驚愕の220Wに到達。執筆時点、AMDが日本国内での単品販売に躊躇しているのは、恐らくこの発熱がひとつのネックになっているのではないだろうか。
なお、AMD公認オーバークロックCPUには下位モデルの「FX-9370」も存在している。こちらはベースクロック4.4GHz、「AMD Turbo CORE Technology」により最大4.7GHzというスペックだ。TDPは上位モデル「FX-9590」と同じ220Wのため、メーカーによる個体選別落ちの印象も拭えないが、販売価格(あくまでドルベース)が半額以下に抑えられている点がポイントだ。
ちなみに日本国内での単品販売は行われていない「FX-9590」と「FX-9370」だが、アメリカ市場では普通に購入することができる。いくつかの販売サイトを確認してみると、「FX-9590」が約880ドル、「FX-9370」が約320ドルといったところ(8月25日現在、いずれもCPUクーラーは付属しない)。「FX-8350」の国内販売価格が約20,000円前後という点を考えると、かなりプレミアムな価格設定であることが分かる。
国内市場にも熱心なAMDユーザーが多く、自作市場の活性化という意味においても、日本AMDにはぜひCPU単体での販売を検討してもらいたい。
SiverStone「Heligon SST-HE01」 実勢価格7,980円前後 製品情報(マスタードシード株式会社) |
マザーボード「990FX Extreme9」とCPU「FX-9590」を紹介したが、忘れてはならないのが重要な脇役であるCPUクーラー「Heligon SST-HE01」だ。昨年8月に発売されたこのモデルは、日本市場では実に約2年振りの登場となるSilverStone期待のサイドフロー型CPUクーラー。今回の検証ではTDP220WのCPUが相手ながら、メーカー公称値TDP300W対応を謳うだけに数字上、問題はないはずだ。
ツインタワーの大型サイドフロー「SST-HE01」。ちなみに、AMDが「FX-9590」の動作で推奨するCPUクーラーはオールインワン水冷キット。空冷タイプの製品は挙げられていない |
「SST-HE01」の外形寸法は、W140×D119×H160mm(ファン除く)の大型サイドフローCPUクーラー。両サイドのヒートシンクに挟まれるように大口径140mm冷却ファンを搭載し、幅の異なる2つの独立したヒートシンクは6本のヒートパイプでツインタワー型にレイアウトされる。
また、標準搭載される冷却ファンは、一般的な25mm厚より幅広な38mm厚の140mm口径モデルを採用。ファンコネクタはPWMに対応する4pin仕様で、最低回転数は500rpmに設定。最大回転数は1,200rpmまたは2,000rpmを切り替えて使用する。なお「SST-HE01」については、こちらの検証記事に詳しいので合わせて参照していただきたい。