エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.261
2013.08.29 更新
文:GDM編集部 Tawashi
基本テストを終えたところで、まずはCINEBENCH R11.5を使い、CPUのパフォーマンスをチェックしていこう。
CINEBENCH R11.5(pts) |
8コアというIntelのCoreiシリーズにはないアドバンテージを持つAMD FXシリーズ。シングルコア時ではさすがに1.25ptsとやや低調なものの、マルチコア時にはシングルコア比約6.25倍となる7.82ptsまで一気にスコアを伸ばす良好な結果となった。マルチスレッドに最適化されたアプリケーションやゲームでは、優れたパフォーマンスを発揮してくれるはずだ。
お次はストレスツール「OCCT 4.4.0」による60分間のテストを実施。CPUの温度を計測した。同時にハードウェアモニターが可能なASRock Extreme Tuning Utilityを使いマザーボードの温度も確認している。なお、テストはエアコンの効いた室温26.5℃という環境にて動作させた。
CPU温度(℃)/検証室内温度26.5℃ |
結果はご覧の通り。10分間放置した中で最も低い値としたアイドル時が29.5℃、高負荷時は最高で83.5℃を記録した。ただし、ここでお断わりがひとつ。今回冷却に使用した空冷クーラー「SST-HE01」の搭載する38mm厚/140mm口径ファンは、フレーム部に搭載されたスイッチで最大回転数を1,200rpmまたは2,000rpmに切り替えて使用する事ができる。当初は回転数設定を最大回転数1,200rpmの「Q」(quiet)モードにしていたのだが、「OCCT 4.4.0」テスト開始わずか4分ほどであえなくオーバーヒートによりストップしてしまった。
そこで今度はファンを最大回転数2,000rpmの「P」(performance)にセット。無事に60分間のテストを完走した結果が上記の数字だ。なお、P(performance)時の公称風量は171CFM、ノイズレベルは41dBAで、通常使用では耐えがたいほどの騒音に。まさに全力で冷却しているといった印象だった。
結論から言えば、空冷タイプのCPUクーラーでも動作可能だ。ただし、通常使用を念頭に置いた場合はAMDが推奨環境としているオールインワン水冷キット、それも240mmクラスのラジエターを備えるモデルでしっかりと冷却してあげる必要がある。
マザーボード温度(℃)/検証室内温度26.5℃ |
一方のマザーボード温度は、アイドル時が28.0℃、高負荷時が36.0℃という結果。CPU本体の発熱は強烈の一言だったが、マザーボード側の温度上昇は僅かで「990FX Extreme9」の優秀さが際立った結果となった。ソケット周りにあるヒートシンクの発熱もほとんどなく、改めて冷却を考えてやる必要もない。
今回テストに使用した「FX-9590」はもちろん、国内で市販されている「FX-8350」のオーバーロックなどにも安心して使用することができるだろう。
TDP220Wの「FX-9590」となれば、当然気になるのが消費電力だ。そこで、さきほど行ったストレスツール「OCCT 4.4.0」によるアイドルと高負荷時の消費電力をそれぞれ計測したので合わせて確認しておこう。
消費電力(W) |
最新モデルでは軒並み省電力化へ向かうCPUだが、予想通りそれをあざ笑うかのような大食漢ぶりを証明してみせた。結果はアイドル時が63W、高負荷時では実に345Wを記録。テスト機はバラック状態のため、実際にPCへ組み込んだ際には追加パーツもあり、さらに上昇するのが確実だ。今回のテストではAMDの推奨に従い1200W電源を利用しているが、1000W前後のモデルは必須と言える。
デビューから2年以上経ち、PCのプラットフォームとしてはやや色褪せた感のあるSocket AM3+だが、5GHz動作を実現する「FX-9590」の登場によってにわかに注目が集まった。今回のテストではASRock台湾本社のラボで活躍中の「FX-9590」を一時借り受けることができたため、同社が正式対応を謳う「990FX Extreme9」での検証が可能になったわけだが、結果はご覧の通り問題なく使用できることが分かった。
繰り返しとなるが、現時点では国内で単体販売されていない「FX-9590」の入手性という問題はある。それを差し引いても、例えば国内最上位モデル「FX-8350」のオーバークロック運用などのシーンにおいては、「990FX Extreme9」は自信を持って勧められる1枚。AMDのロードマップによれば、今しばらくはSocket AM3+プットフォームが継続する予定だが、これから導入を考えているという人にとっては、要チェックのモデルと断言したい。